経団連のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、越智仁委員長)は6月13日、ビジネスヨーロッパとともにベルギー・ブリュッセルのビジネスヨーロッパ本部で第6回日EU業界対話会合を開催した。
■ 業界対話会合の経緯
業界対話会合は、日EU EPAに関連し、非関税措置および規制協力について意見交換するため、2012年から日欧双方の主要業界団体の参加を得て開催している会合であり、各業界が日EU間の対話の成果と取り組むべき課題を報告するもの。
当初、日EU EPA交渉開始にあたっては、EU側が日本側に非関税措置の撤廃を要請しており、日本側として対応が求められていた。そのため経済界としても、政府に任せるだけでなく、業界の現場に精通する専門家同士が議論することで、双方にメリットのある解決策を見いだそうとしたことが業界対話会合の開始の経緯である。
対話の開始から1年後の13年に日EU EPA交渉が開始されて以来、5年が経過するなかで、対話の内容は当初のように、非関税措置に関するEU側からの要請に日本がいかに対応するかというものから、日EU間のみならず、新興国をはじめ第三国を含めたシームレスな事業環境の実現に向けて、規格・基準の調和や相互承認など、規制協力をいかに進めるかが中心となってきている。
昨年12月には、それまでの対話の成果に基づき、日EU間の規制協力に関し、経団連とビジネスヨーロッパとの間で共同提言(注1)を取りまとめた。
■ 第6回会合の概要
今般の第6回会合では、自動車、ICTなどの業界から、非関税措置や規制協力に関するこれまでの対話の成果ならびに残された課題や今後の取り組みの方向性などについて報告が行われた。
自動車分野では、中国やインドなどの第三国市場を視野に入れた国際的な規格・基準づくりを日EUの業界がリードしている現状や、規格・基準の異なる米国との間の調和に向けた取り組みについて説明があった。また、ICT分野では、国境を越える自由なデータフローの実現に向けた日EUそれぞれの業界の取り組みについて報告があった。そのほか、日EU EPAの利用率を高めるため、企業として使いやすい原産地規則の確立に向けて対話を深めている状況についても説明があった。
■ 共同リリースの公表
会合後、経団連とビジネスヨーロッパは共同リリース(注2)を公表した。そのなかでは、交渉が最終段階にある日EU EPAの早期実現に強い期待を示したうえで、EPAの実現は、日EU双方の成長と雇用の創出につながるばかりでなく、ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の形成にも大いに寄与するとした。
また、反グローバル化の傾向が強まるなか、世界のGDPの3割弱、世界貿易の約3割超を占める日EUによるEPAへの合意の意義は大きく、世界に対し、強く前向きなメッセージを発信することができるとした。
さらに、業界対話を通じて促進してきた規制協力についても、EPAの実現によって制度的な基盤が整備されること、環境などにかかる基準を遵守すると同時に、貿易・投資を促進する手段である規制協力を賢く進めることにより、グローバル化をより包摂的なかたちで進めることができることを指摘した。
(注1)日EU規制協力に関する共同提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/119.html
(注2)経団連・ビジネスヨーロッパ共同リリース
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/047.html
【国際経済本部】