経団連環境エネルギー本部
今回、政府が提示した省令等改正案は、2020年度までに実施する固定価格買取制度(以下、「FIT制度」)の抜本的な見直しに先立って、国民負担の抑制等に向けた課題に足元から対処するものであり、評価する。
そのうえで、再生可能エネルギーの主力電源化を目指す観点から、以下のとおり意見を述べる。
第2条 太陽光発電設備に係る調達価格等
〔p.4〕
2014年度以前に旧認定を取得した未稼働の事業用太陽光について、調達価格の見直しを行うことを強く支持する。
2016年のFIT法改正をはじめとして対策が取られてきたにも関わらず、未だに滞留を続ける未稼働案件が多く存在している。本意見公募の関連資料p.6に記載された未稼働案件の設備容量に基づけば、未稼働の事業用太陽光が認定取得時の価格で全て運転開始した場合、買取費用は年額約1.3兆円押し上げられると試算される。2018年度の買取総額は既に3.1兆円に達していることから、仮に本年度をもって新規FIT認定を打ち切ったとしても、エネルギーミックスで想定された3.7~4.0兆円という買取総額を超過することになる。限りある国民負担のもとで最大限の再生可能エネルギーを導入する観点から、未稼働案件の調達価格を施工時点あるいは運転開始時点でのコストを反映した適正な価格に見直すことが不可欠である。
太陽光パネルの価格が数年来劇的な値下がりを見せていることを踏まえれば、過去の高い価格で認定を受けた案件について、安価になった設備等を利用して事業を実施することで、発電事業者は想定よりも大きな利潤を得ることができると考えられる。しかしながら、FIT制度が保証する調達価格は、本来、適正なコストに適正な利潤を加えた金額であり、超過利潤の獲得が調達価格設定の基本理念から逸脱していることは明らかである。
限りある国民負担は、過去に認定を取得した事業者に必要以上の利潤を与えるよりも、より効率的な事業実施が可能な後発の発電事業者の支援に充て、再生可能エネルギーの導入を最大限拡大すべきである。
*パブリックコメント募集ページ
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