一般社団法人 日本経済団体連合会
資源・エネルギー対策委員会企画部会
今回の制度改革の提案は、現行の固定価格買取制度(以下、「FIT制度」)の問題点に対して現時点で取りうる対応が盛り込まれており、概ね評価する。
そのうえで、国民負担を抑制しつつ再生可能エネルギーの導入促進を図る観点から、以下のとおり意見を述べる。
1.全般
この度、未稼働案件への対処や入札制度の導入等、国民負担の抑制に向けたFIT制度の見直しが行われることを高く評価する。
一方、FIT制度による国民負担は、既に当初の想定を超えて極めて重いものとなっている。今後とも、FIT制度の運用を不断に検証し、必要な見直しを行うべきである。併せて、研究開発等の支援をはじめとする各種施策を展開し、再生可能エネルギーの自立的導入を図ることが不可欠である。
2.認定要件の見直し
新認定基準として、系統への接続契約の締結を求めるほか、設備の適切な保守・廃棄や他法令の遵守、事業内容の掲示等を定め、適切な発電事業の実施を確保することに賛成する(p.3-9)。
短期間に運転を開始することが可能で、設備価格も低下傾向にある太陽光発電について、設備認定から運転開始までの期限を個別の事情に拠らず定めることに賛成する。ただし、こうした特性を考慮すれば、本来、太陽光発電については運転開始時の買取価格を適用することが適切である。少なくとも、事業用太陽光について、設備認定取得から3年間とした猶予期間は、標準的な工期に照らして長いため、今後、実情を踏まえつつ一層の改善を進める必要がある(p.5-6)。
3.認定情報の公表
認定情報を検索可能な形で公表することを評価する。発電設備の立地に伴う地元住民等への影響を考慮し、認定の申請により取得した事業の情報については、申請段階のものも含め、なるべく早い段階で開示を行うべきである(p.9)。加えて、各施設の発電実績や買取総額についても、負担者である国民に対して広く公開すべきである。
4.認定制度に係る経過措置
国民負担を抑制するとともに、より低コスト・高性能な後発事業者の参入機会を確保する観点から、既認定未稼働案件に対しては、FIT法附則および本省令案に則った適切な対応を求める。
適切な発電事業の実施を確保する観点から、旧認定を受けていた事業者に対しても、認定移行にあたり追加的に必要となる事項の速やかな報告を求めることが適当である(p.10-11)。