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Policy(提言・報告書)  環境、エネルギー 当面の地球温暖化政策に関する考え方

2013年10月4日
一般社団法人 日本経済団体連合会

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本年1月25日の安倍総理大臣の指示を受け、政府においては、第19回気候変動枠組条約締約国会議(COP19)までに「25%削減目標をゼロベースで見直すとともに、技術で世界に貢献する攻めの地球温暖化外交戦略」を策定すべく検討が進められている。

また、2012年度を以って終了した京都議定書目標達成計画に続く新たな温暖化対策として、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合を中心に、「地球温暖化対策計画」に位置付ける対策・施策の検討作業が行われている。

こうした状況を踏まえ、わが国の当面の地球温暖化政策に関し、以下の通り提言する。

1.地球温暖化対策の重要性

  1. (1) 地球温暖化防止は人類共通の重要な課題であり、全ての国の政府、産業界、国民による主体的な行動が求められる。そこで経団連では、1997年から「環境自主行動計画」を通じ国内のCO2の削減を進め、本年4月からは同計画をさらに進化させた「低炭素社会実行計画」#1を社会へのコミットメントとして推進している。

  2. (2) わが国は、京都議定書の第二約束期間には参加しないものの、環境と経済の両立を図りながら地球温暖化対策に積極的に取り組む必要がある。そこで、国としての何らかの目標や計画を掲げ、PDCAサイクルを回しながら、温暖化対策を着実に進めることが重要である。
    こうした努力により、今後とも国・企業のエネルギー効率や企業が提供する製品・サービスの省エネ・低炭素技術等の水準において、世界の中でトップレベルを維持していくことが求められる。

2.2020年目標に関する基本的な考え方

  1. (1) わが国の温室効果ガスの9割は、エネルギー起源CO2であることから、エネルギー政策と温暖化政策とは表裏一体の関係にある。
    経済を成長させながら温暖化対策に取り組む観点から、まず国としての成長戦略を確立し、次に同戦略を実現するために必要なエネルギー政策やエネルギー基本計画を策定し、目指すべき2020年のエネルギーミックスを固めた上で、温室効果ガスに係る2020年目標を決定する必要がある。

  2. (2) わが国では、6月に日本再興戦略が策定され、現在、同戦略や東日本大震災を踏まえ、総合資源エネルギー調査会で今後のエネルギー政策やエネルギー基本計画に関する議論が行われている。また、原子力発電に関しては、7月に施行された新基準に基づく審査が始まった段階であり、現時点で将来の稼働状況を見通すことは困難である。
    このようにエネルギーミックスの年内の策定が難しい中では、11月のCOP19までに国として責任あるかたちで2020年目標を決定・表明することはできない。また、将来に対する不確定要素が多いことを理由に幅のある数値を安易に示すことは、国内外の信頼を損ないかねないため適切ではない。

  3. (3) 従って、わが国の2020年目標は、来年以降、エネルギーミックスが具体的に固まった段階で決定すべきである。
    その際、実現可能性、国民負担の妥当性、国際的公平性#2の3条件を当然満たすとともに、産業・運輸・民生などセクター別に国内の削減ポテンシャルを積み上げ、真水で設定すべきである。

3.今後の気候変動交渉に向けて

  1. (1) 以上を踏まえ、日本政府は、「エネルギー政策が固まり、将来の原子力発電の稼働状況が見通せた段階で、わが国の2020年目標を改めて提出する」旨を表明すべきである。

  2. (2) 併せて、引き続き地球規模で温暖化対策を積極的に推進する姿勢を国際社会に示す必要がある。そこで、経団連の「低炭素社会実行計画」および「攻めの地球温暖化外交戦略への提言」(2013年7月16日)#3等を踏まえ、以下の三本柱を中心に「地球温暖化対策計画」における具体的施策を策定すべきである。なお、イノベーションの阻害要因となる地球温暖化対策税や再生可能エネルギーの固定価格買取制度は早急に抜本的に見直すべきである。

    1. 国内対策の強化
      安全性が確認され地元の理解を得た原子力発電の着実な稼働に取り組む必要がある。
      また、国内の事業活動における利用可能な最先端技術(Best Available Technology:BAT)の最大限導入を支援すべきである。
      さらに、省エネ製品・サービスの普及による使用・消費段階を含むライフサイクル全体でのCO2排出量削減を促進するため、税制を含めインセンティブを付与することが求められる。
      これに関連し、ITS(Intelligent Transport System)、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)などITを活用した省エネ、国民運動の展開など国を挙げた取組みが不可欠である。

    2. 国際貢献の推進
      わが国の優れた技術・製品・ノウハウの海外での普及により、地球規模での温暖化対策に大きく貢献することが可能である。
      とりわけ新興国・途上国の削減ポテンシャルを実現する上で、二国間オフセット・メカニズムは有効なツールとなる。同メカニズムを積極的に推進するため、相手国の技術・製品・ノウハウ等に関するニーズも踏まえながら、産業界の協力も得て制度設計するとともに、2020年までに実施する公的支援策を具体的に明示すべきである。

    3. 革新的技術の開発
      環境エネルギー技術革新計画に基づく具体的なロードマップを作成して民間と共有し、重点分野で集中的に革新的技術開発#4を進める必要がある。そのために国として確保する政府研究開発投資額を含め、具体的な推進策を国際的に示すべきである。

以上

  1. http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/003.html 参照
  2. 国際的公平性の指標としては、GDPあたりのCO2排出量や一次エネルギー使用量の比較のほか、過去の削減努力を反映するとともに炭素リーケージを防止する観点から、麻生政権時代にわが国の中期目標を決定する際に検討された先進国間の限界削減費用の比較検証等も参考とすべきである。
  3. http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/065.html 参照。
  4. 重要技術については、経団連のエネルギー・低炭素化関連技術アンケート結果概要(2013年7月22日:http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/069.html)参照。

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