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Policy(提言・報告書)  経済政策、財政・金融、社会保障 平成24年度診療報酬改定に関する要請

平成23年11月11日

厚生労働大臣
 小宮山 洋子 殿

健康保険組合連合会会長  平井克彦
国民健康保険中央会理事長柴田雅人
全国健康保険協会理事長小林 剛
全日本海員組合組合長藤澤洋二
日本経済団体連合会会長米倉弘昌
日本労働組合総連合会  会長古賀伸明

平成24年度診療報酬改定にあたって、下記のとおり意見をまとめましたので、現下の厳しい経済・雇用情勢や保険者の財政状況についてご理解いただき、改定率及び改定の基本方針の策定に適切に反映されるよう、強く要請いたします。

わが国の経済・社会情勢は、低成長が長期化する中で、欧州の信用不安等を背景とする急激な円高の進行、それに伴う景気や雇用情勢の悪化、東日本大震災の影響等によって不透明感が深まっています。また、賃金・物価は依然として低下傾向にあってデフレから脱却する兆しが見られず、今後は高齢化に伴う社会保障負担の増大や東日本大震災からの復興のための増税により国民生活はより一層厳しさが増すものと予測されます。

こうした中で、医療保険財政は給付費の増加、保険料収入の減少、高齢者医療制度に対する支援金・納付金の過重な負担等により急速に悪化しており、健保組合は4年連続の巨額な赤字、協会けんぽにおいても3年連続の保険料率引上げが見込まれています。さらに、国民健康保険においては市町村一般会計からの多額の繰り入れを余儀なくされています。

以上のような厳しい経済・社会情勢や国民負担、保険者の財政状況、さらには先日公表された医療経済実態調査結果で医療機関の経営状況がおおむね改善傾向にあることが明らかになったことなどを考慮すると、患者負担や保険料負担の増加につながる診療報酬の引上げを行うことは、とうてい国民の理解と納得が得られないものと考えます。

したがって、24年度の診療報酬改定においては、前回改定において重点的に取り組んだ勤務医対策や産科、小児科、救急医療対策の効果を検証しつつ、病院に勤務する医療従事者の負担軽減と人員確保をさらに進めるなど、必要度の高い医療に対しては大胆かつ重点的な評価を行う一方で、限られた財源を効率的かつ効果的に配分するため、入院期間の短縮、社会的入院の解消等に向けた見直し・適正化を図っていくことが重要です。その際には、診療報酬のみでは対応が難しいものもあり、補助金等を含めた対応が必要と考えます。

また、24年度は介護報酬との同時改定であることから、医療と介護の連携体制の強化の観点から、在宅医療・介護や居住系施設・サービスの充実等のための取組みを推進するとともに、診療報酬では支援が難しい震災による被害への対応についても、補助金等を確保することが必要と考えます。

国民皆保険から50年を経て、医療保険制度は政府はもとより関係者の努力により、国民生活の安心を支える制度としてなくてはならないものになっていますが、人口・疾病構造が変化し、財政的な制約が深刻化するなかで、いま求められているのは制度を持続可能なものとして再構築するための改革です。24年度の診療報酬改定がそうした改革を指向したものとなることを願ってやみません。

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