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Policy(提言・報告書)  経済政策、財政・金融、社会保障 社会保障と税の一体改革に対する意見

2011年6月15日
(社)日本経済団体連合会

政府・与党は6月20日の成案決定に向け、精力的に議論を重ねているが、これまでの検討の中で明らかになった、消費税を社会保障の安定財源に充てていくとの改革の基本的枠組みは、積年の課題解決に向けた一里塚が築かれたと受け止めている。

他方、共助のさらなる拡充を基軸とした社会保障各分野の改革像については、社会保障と成長の両立の観点から、多くの課題を残している。現役世代や企業の負担を増やす改革は、成長の基盤たる企業やそこで働く従業員の活力低下につながるばかりか職場を奪い、社会保障を支える力を減衰させる。

かかる観点から、今後予定される制度各般の具体的な見直しにあたっては、下記を踏まえ、十分検討を尽くされることを要請する。

1.高齢者医療制度・介護

前期高齢者を含む高齢者医療制度への税投入の割合を高めるべきである。同時に介護給付費への税投入割合についても拡大を図るべきである。

2.非正規労働者に対する社会保険の適用範囲拡大

社会保険の適用範囲拡大によって、保険料が急激に上昇し、従業員・事業主ともに大幅な負担増となる業種(流通業・飲食業等)が存在する。検討にあたっては、産業や労働市場にとって現実的であり、かつ実現可能性のある解が得られるよう議論を深めることが必要である。

3.公的年金の支給開始年齢のさらなる引き上げ

政府において65歳までの高齢者雇用対策が検討される中、雇用政策との整合性を確保する必要がある。加えて、若年者雇用等の労働市場への影響についても慎重に見極める必要がある。支給開始年齢のさらなる引き上げについては、マクロ経済スライドの見直し等の給付抑制策の着実な実施ならびに高齢者雇用対策に係る政府方針の確定までの間、その検討を凍結すべきである。

4.子ども・子育て

子ども・子育て新システムの所要費用は、税制抜本改革以外の財源も含めて1兆円超程度の措置を今後検討するとされているが、今回の改革で手当てされる公費は7千億円程度にとどまっている。この差額の3千億円程度についても全額公費で賄う方針を明確に示すべきである。また、官の肥大化、費用徴収の自己目的化につながる特別会計(子ども・子育て勘定(仮称))の創設には改めて反対する。

5.効率化・重点化の更なる検討

限られた財源を有効に活用し、真に必要な人に対する給付を確保するためにも、診療行為の標準化と診療情報の共有化を通じた医療費の削減、介護保険における利用者負担のあり方や、要支援・軽度の要介護者等への給付の見直し、子ども手当への所得制限の導入など、給付の効率化・重点化への一層の取組みを強化すべきである。

以上

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