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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年4月3日 No.3678 第2次トランプ政権におけるディープテック開発

ロ氏

経団連は3月12日、東京・大手町の経団連会館で「第2次トランプ政権におけるディープテック開発に関する懇談会」を開催した。グリーンバーグ・トラウリグ法律事務所シェアホルダーのロ・チア・フィン弁護士から、第2次トランプ政権におけるバイオやAI、半導体、宇宙、ロボティクス分野の開発に関する政策動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ トランプドクトリン

2025年1月20日に発足した第2次トランプ政権における米国のディープテック政策は、技術主権の確立とグローバルな優位性の維持を目指すものである。具体的には、当該分野における国外技術への依存を減らし、製造業の国内回帰の促進や米国中心の技術エコシステムの強化を図り、特に中国の台頭を抑制する意図がある。その実現には民間セクターが重要であると考えられており、連邦政府の縮小と規制緩和を通じ、公的セクターが管理する資源を民間セクターへ開放することで、民間におけるイノベーションを推進する狙いがある。

■ トランプ政権のディープテック分野への影響

1.バイオインダストリー

米国が世界をリードする当分野では、規制緩和、バイデン前政権における政策の見直しを通じて産業振興を行う。例として、バイデン前政権下ではごく一部の例外を除き、臨床試験に際して組み入れ患者の多様性確保が求められ、臨床試験のコストアップにつながっていた。トランプ政権ではこれを見直す。その他、医薬品価格規制(インフレ抑制法など)の見直しも行われる。また、国家安全保障でも当分野は重要であり、中国とのデカップリングが継続することとなろう。中国の特定企業と連邦政府機関との契約締結を制限するバイオセキュア(BIOSECURE)法の導入や、今後、製薬企業が中国発のデータを使用することに米国食品医薬品局(FDA)が難色を示す可能性もある。

2.AI・量子

トランプ大統領自身は当分野こそが国家安全保障に関わる重要分野であると考えている。トランプ政権では政府の関与を縮小し、産業主導の発展を促進する方針が取られている。AI安全規制の緩和などを通じ、民間企業のイノベーションを先行させ、規制はその後から考えればよいとのスタンスである。

3.半導体

当分野は国家安全保障の側面が大きく、多くの輸出管理が行われている。米国は半導体のデザインと装置分野では世界をリードしているが、実際の製造においては台湾積体電路製造(TSMC)が圧倒的なグローバルシェアを獲得している。中国からの追随を許さぬよう米国内製造の推進、外国投資規制、輸出管理の強化を通じ、半導体産業における海外依存を減らす狙いがある。

4.宇宙開発

国家安全保障の側面から、トランプ大統領も当分野を重視している。宇宙技術で米国はグローバルに優位な地位にあるが、一部の部品は米国外に依存する。民間主導の宇宙開発を加速し、宇宙産業の競争力向上と国家安全保障の強化を目指す。宇宙開発は、ディープテック分野において海外企業が米国と共同できる数少ない機会である。

5.ロボティクス

当分野はAI分野との結び付きが強く、国家安全保障および国防においても重要な産業と位置付けられる。また、移民抑制下における労働力確保からも政策が進められており、農業分野等での活用が進められる。

■ 米中関係と技術競争

複数のディープテック産業分野において、中国の台頭がすさまじい。中国は今や米国にとって最大のチャレンジャーである。技術主権の確立とグローバルな優位性の維持を目的とするトランプ政権の政策動向を理解したうえで、日本企業には国際競争下での生き残り戦略が求められる。

【産業技術本部】

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