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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年4月3日 No.3678 2025年におけるトルコの経済・内政・外交 -日本トルコ経済委員会

今井氏

経団連の日本トルコ経済委員会(満岡次郎委員長、漆間啓委員長)は3月14日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所地域研究センターの今井宏平中東研究グループ研究員から、2025年におけるトルコの経済・内政・外交について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ トルコ経済の現状

トルコは長年にわたってインフレ率が高い。これに不満を持つ医療分野等で高等教育を受けた人材が国外へと流出し、問題となっている。24年3月に政策金利を50%へ引き上げたことが功を奏したのか、インフレ率は同年6月以来、低下し続けている。トルコ統計局によると、24年5月のインフレ率は75.4%だったが、直近の25年2月は39.1%となっている。

レジェップ・タイップ・エルドアン大統領はインフレ率のピークアウトを背景に、政策金利の引き下げをトルコ中央銀行に指示し、24年12月と25年1月に利下げを実施した。今のところ利下げによる悪影響は見られないが、同行は高インフレ率による国民の生活苦を考慮し、政策金利を都度変更する声明を出すなど、柔軟に対応できる体制を整えている。

■ PKKの解散宣言と和平プロセス

クルディスタン労働者党(PKK)は約40年にわたってトルコ軍と抗争を続けており、トルコ政府から非合法武装組織に指定されている。24年10月に与党の公正発展党(AKP)と連立を組む民族主義者行動党(MHP)のデヴレット・バフチェリ党首が、PKKのアブドゥッラー・オジャラン党首をトルコ国会に招聘することを提案した。その後、オジャラン氏とクルド系議員団の面会が実現し、オジャラン氏は25年2月、PKKに武装解除と解散を呼びかけた。

PKKはオジャラン氏の意向に従い、武装解除に応じる構えを示したが、PKKとの和平交渉プロセスは一筋縄でいかないと予想する。PKKとトルコ軍の抗争により、巻き込まれた市民も含めて双方で計4万~5万人が亡くなっている。このため、トルコ国民の多くはPKKに対して強い嫌悪感情を持っており、09年や13~15年と同様に和平交渉に反発する可能性が高い。

■ トルコ外交の注目点

23年6月に就任したハカン・フィダン外務大臣は、前職が国家情報局長官である。外務省に国家情報局の人材を数多く登用し、外務省が半ばインテリジェンス組織へと改革されつつある。

米国の第1次トランプ政権との関係では、シリア情勢への対応に思ったほど進展がなく、トルコに経済制裁が科されるなど、トルコにとって大きな外交成果がなかった。第2次トランプ政権との関係では、インフレ解消のために経済制裁の回避は不可欠である。また、トランプ大統領のディール外交とトルコ政府のあいまいなバランス外交が両立するのか疑問が残る。

ウクライナ危機に対し、トルコは仲介に努力しており、停戦協議に加わりたいという意思はかなり強い。

トルコ政府はシリア新政権と良好な関係を築いており、最もシリアに影響力を行使できるアクターと見なされている。ただし、シリアのクルド民族主義政党との対立や、難民の帰還に困難が伴うことなどの懸念点もある。

パレスチナ・ガザに関して、トルコ政府はガザを擁護する基本姿勢を見せているものの、ウクライナ危機などと比較すると、あくまで対岸の火事である。

現在のトルコを見るうえで最も重要なのは、エルドアン大統領の経済・内政・外交面での姿勢である。直近での最大の懸念は経済状況であり、第2次トランプ政権との関係はまだ手探り状態である。

【国際経済本部】

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