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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年4月3日 No.3678 感染症対策における新たな研究機構の機能発揮に期待 -危機管理・社会基盤強化委員会

國土氏

経団連は3月11日、東京・大手町の経団連会館で、危機管理・社会基盤強化委員会(永野毅委員長、安川健司委員長、齋藤充委員長)を開催した。

経団連提言「司令塔機能を強化し、新たな感染症に備える」(2022年11月)を受け、4月1日に国立感染症研究所と国立国際医療研究センターとの統合で新たに「国立健康危機管理研究機構」(JIHS〈ジース〉)が発足する。会合では、JIHSの初代理事長に内定した國土典宏国立国際医療研究センター理事長(当時)が、JIHSの機能と役割について講演した。

國土氏の講演に先立ち、内閣感染症危機管理統括庁の吉添圭介内閣審議官が、感染症危機における政府の体制を説明。(1)同庁が感染症危機対応に係る政府全体の方針の企画立案や各省の総合調整を一元的に行う等の司令塔機能を発揮する(2)JIHSから同庁や政府対策本部、厚生労働省等関係機関に対し、感染症についての科学的知見が提供される――と述べた。

■ 國土氏説明

1.新型コロナウイルス対応の学び

新型コロナウイルス対応で、国立国際医療研究センターはさまざまな役割を果たしてきた。

流行初期はPCR検査が可能な施設が限られていたため、東京都新宿区にある当センター病院の前に患者が列を成した。そこで、同区医師会、保健所や主要病院等と連携し、検査は当センターの検査スポットで行いつつ、陽性者を重症度に応じて他院に搬送し、病院機能別に負担を分け合う「新宿モデル」を構築した。

治療法の研究にも協力し、例えばレムデシビルの国際共同治験に参加し、同薬のスピード承認に貢献した。

なお、パンデミック下の試験のあり方については、英国のRECOVERY臨床試験が参考になる。1日でのプロトコル(研究計画書)作成、医療デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた医療データと行政データとの統合、データ提供に協力してくれた病院からの信頼などが試験の成功に寄与したという。JIHSも国民や医療関係者に信頼される組織を目指したい。

2.新機構・JIHSの機能と役割

JIHSの主要機能は、(1)感染症情報の収集・分析(2)研究開発基盤と臨床試験ネットワーク(3)全病態に対応できる高度先進医療(4)人材育成等――である。

情報収集では、感染症サーベイランス体制を設ける。保健所から患者や病原体に関するデータを得る。その結果は内閣感染症危機管理統括庁等に提供するとともに、分析内容を保健所等にフィードバックする。

研究では「FF100」という、感染症の初期数百症例の特徴を急ぎ調べ、対策に生かす仕組みがある。

ネットワークでは、国立がん研究センターと連携して知見を共有したり、アジアでの臨床試験網の構築に注力したりする予定である。

医療では、パンデミック初期段階はJIHSの病院が全て診るものの、新宿モデルのように徐々に他病院と連携しつつ、重症度別に負担を分け合って対応することになるだろう。

人材育成では、情報収集・分析人材や感染症の危機管理専門家が新型コロナ対応でも活躍したので、今後もさらに増やしていきたい。

JIHSは各地にさまざまなキャンパスを持つ。各キャンパスと約4000人の職員の力を合わせ、次のパンデミックに備えていく。

■ 意見交換

講演後、参加企業から、次なるパンデミックへの備えとして、医療や自治体のDXの推進が不可欠である点、企業は感染症対策を踏まえた事業継続計画(BCP)を作成し、危機管理の備えや専門人材の育成を進めることが重要である点、ワクチン製造の体制強化に向けて、パンデミック等の有事の際に生産ラインを迅速に見直せるよう、法整備が必要である点――などの指摘があった。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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