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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年10月5日 No.3333 持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた国際社会・日本における取り組み聞く -企業行動・CSR委員会企画部会

説明する竹本氏

経団連の企業行動・CSR委員会企画部会(小口正範部会長、森川典子部会長)は9月19日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、国連大学サステイナビリティ高等研究所の竹本和彦所長から、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた国際社会や日本における取り組みについて説明を受け、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ SDGs策定の経緯

2015年9月に採択されたSDGsは、17の目標と169のターゲットからなる国際的な統一目標である。もともと環境保護と発展途上国に対する開発支援は別々の会議で議論されていた。1992年の「環境と開発に関する国連会議」(地球サミット)では「環境と開発に関するリオ宣言」、続く2000年の国連ミレニアム・サミットでは「ミレニアム開発目標(MDGs)」が採択された。その後、15年以降の開発目標を策定するにあたり、「経済」「社会」「環境」を真に統合する重要性が認識され、発展途上国を中心とする課題である「開発」からすべての国が対象となる「持続可能な開発」が国連の最重要課題として位置づけられた。

■ 国際社会における取り組み

SDGsの実施に向けた国際的な取り組みとしては、毎年7月に国連で持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)が開催され、各国政府の実施状況のフォローアップ・レビューが実施されている(17年は43カ国が参加)。

アジア地域では、国連のアジア太平洋経済社会委員会が、地域レベルでのロードマップの作成や、加盟国のSDGs実施支援および能力開発を行っており、国連大学も協力している。

また、アジア各国の施策をみると、SDGsの実施に向けた政府組織の強化に加え、国内法への反映や、中国などでは国家開発計画にSDGsを組み込んでいる。

■ 日本における取り組み

日本の取り組みとしては、総理を本部長、全閣僚が構成員を務める「SDGs推進本部」が設立され、日本が取り組む8つの優先課題と具体的施策を示した「SDGs実施指針」を採択した。推進本部の下には、実施指針の策定・実施状況に関する関係府省とステークホルダーとの意見交換の場として「SDGs推進円卓会議」が設置されている。さらに、SDGsの地方への展開として、内閣府に「自治体SDGs推進のための有識者検討会」が設置され「環境未来都市」構想、その発展型としての「SDGs未来都市構想」の推進などが検討されている。

また、学術界では、多様なステークホルダーとの学術的な連携・協働に向けた「フューチャーアース」というプラットフォームが設立され、その推進に向けた日本委員会が新たに立ち上がっている。

経済界では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国際的なESG(環境、社会、ガバナンス)投資の指針である「責任ある投資原則」(PRI)に署名するなど、SDGsの達成に向けた企業の取り組みに注目が集まり始めている。今後、SDGsの達成に向けて世界をリードする日本の経済界の果たす役割に期待したい。

【教育・CSR本部】

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