経団連の企業行動・CSR委員会(三宅占二委員長、二宮雅也委員長、津賀一宏委員長)は2月6日、東京・大手町の経団連会館で外務省の相星孝一地球規模課題審議官から、持続可能な開発目標(SDGs)の国際動向とわが国の取り組みについて講演を聞くとともに、意見交換を行った。
■ 二宮委員長あいさつ
冒頭、経団連を代表して政府の「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」に参加した二宮委員長があいさつ。SDGs実現に向けた国民的な機運を高めるとともに、企業の事業活動を通じた社会的課題解決の重要性を指摘した。また、二宮委員長が会長を務める企業市民協議会(CBCC)ならびに経団連自然保護協議会でSDGsの実現に向け積極的な活動を展開するとともに、経団連の企業行動憲章および同実行の手引きについても、SDGsの制定を含めた社会的な変化を踏まえ、見直しを検討していくと述べた。
続いて行われた相星審議官の講演の概要は次のとおり。
■ 講演「持続可能な開発目標=SDGs~国際動向とわが国の取り組み」
SDGsは、2015年を期限としたミレニアム開発目標(MDGs)を踏まえ、15年の国連サミットで採択された。
先進国を含めた国際社会全体の目標を設定した点に特徴があり、2030年を期限に、貧困、ジェンダー平等、エネルギー、気候変動などの広範な課題に対し各国の取り組みを求めている。
同時にSDGsは、成長・雇用、クリーンエネルギー、イノベーションなど、国内の経済社会の課題への取り組みも求めていることから、政府一体となって取り組むため16年5月に安倍総理を本部長とするSDGs推進本部を設置し、12月に「SDGs実施指針」を決定した。
策定にあたっては、広範な意見を反映するため、「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」を設置し、企業も含めたマルチステークホルダーの代表者から意見を聞くとともに、パブリックコメントを実施した。
実施指針では、「あらゆる人々の活躍の推進」「健康・長寿の達成」「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」等の8つの優先課題を設定し、具体的施策を記載した。
施策の具体的な実施にあたっては、各ステークホルダーの連携が重要であり、とりわけ実際に経済社会に深くかかわり合いを持つ企業が果たす役割は大きい。また、国際社会の開発において企業の役割が拡大している。
例えば、先進国から途上国への資金の流れをみると、現在、民間による投資がODAよりも大きな割合を占めるようになっており、民間企業への期待は大きい。
今後、7月に国連のハイレベル政治フォーラムで政府からわが国の取り組みを発表する予定であるが、SDGs実施指針の策定も踏まえ、その実現に向けた国民的な機運の醸成に努めていきたい。
<意見交換>
意見交換では、三宅委員長から、企業がそれぞれの得意分野の事業を通じた社会課題の解決を図ることが必要であり、それが結果としてSDGsに紐付いていることが重要ではないかとの意見が出された。
【政治・社会本部】