経団連は17日、2016年1~6月に実施された昇給・ベースアップの状況に関する調査結果を発表した。概要は次のとおり。
(1)賃金決定にあたって主として考慮した要素
本項目の調査を開始した09年以降、賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)は、「企業業績」(66.2%)が最も多く、「世間相場」(48.4%)、「経済・景気の動向」(23.8%)を加えた3要素が上位を占める傾向に変化はない。このほか、「人材確保・定着率の向上」(13.9%)と「雇用の維持・安定」(13.6%)が3要素に次いで多く、労働力不足への対応なども重視されていることがうかがえる。
(2)昇給・ベースアップの実施状況
昇給・ベースアップの実施状況では、「昇給・ベアともに実施」した企業は55.4%で、3年連続で過半数に達した。「昇給実施、ベアなし」(44.6%)と回答した企業と合わせると、集計企業すべてで定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給実施など、月例賃金の引き上げが行われている。
(3)月例賃金引き上げの状況
昇給とベースアップの区別のある企業の月例賃金引き上げ額は6909円、引き上げ率は2.23%となった。内訳をみると、昇給分は例年とほぼ同水準の6071円(1.96%)、ベースアップ分は838円(0.27%)となり、14年以降高水準のベースアップが続いている(図表参照)。
◇◇◇
「昇給・ベースアップ実施状況調査」は、賃金引き上げの実態と動向を把握し、今後の賃金対策の参考とするため1953年以降毎年実施している。 16年は経団連の企業会員および東京経営者協会の会員企業のうち、488社(製造業51.4%、非製造業48.6%)から回答を得た(有効回答率25.4%)。
【労働政策本部】