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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における十倉会長発言要旨

2024年11月11
一般社団法人 日本経済団体連合会

【米大統領選挙】

〔米国大統領選挙でトランプ前大統領が再選したことについて問われ、〕トランプ前大統領の再選に祝意を表する。公約に掲げている経済政策が国民から支持されたのではないか。

わが国にとって米国は唯一の同盟国である。トランプ政権においても引き続き、強固な同盟関係を基盤に、日米関係が一層発展していくことを願っている。

トランプ政権発足後、公約で掲げた政策をどのように具体化されるかは現時点で明確でないが、米国が保護主義に陥ることなく、日本とともに、ルールに基づく国際経済秩序を支えるグローバルなパートナーとしてリーダーシップを発揮することを強く期待する。

【年収の壁】

〔いわゆる103万円の壁の引上げについて考えを問われ、〕経団連は分厚い中間層の形成を訴えているが、所得のある現役世代に焦点を絞った政策であり、国民的な議論を巻き起こしているという点を評価したい。一方、基礎控除等の拡大が実現した場合、政府の試算では年間7~8兆円の税収減となる。財政への影響をいかに抑えるかという現実的な議論を求めたい。可処分所得の増加が、消費拡大や労働供給の増加に本当に資するのかという点も踏まえ、よく吟味してほしい。

〔政府が、厚生年金に加入する年収要件(いわゆる106万円の壁)を撤廃する方向で調整中との報道について受け止めを問われ、〕社会保障制度は、公正・公平で働き方に中立であるべきである。現行の社会保障制度は、女性がいわゆる専業主婦であることを前提としているが、現在は共働き世帯の数が専業主婦世帯の約3倍となり、制度と実態が乖離している。可能な限り多くの働き手に厚生年金に加入してもらうことで、働き方に中立であり、将来不安の払拭につながる社会保障制度へと見直しを進めるべきである。その意味で、いわゆる106万円の壁を撤廃するという方針は、大きな方向性としてよいのではないか。

ただし、適用拡大に当たっては、新たに対象となる方の負担に対する一定の配慮は必要であろう。

【政治】

〔自公連立政権の少数与党としての国会運営について問われ、〕政策本位で、多様なテーマに関して喧々諤々の議論がなされるというメリットが活かされることを期待している。ただし、その中でも、エネルギー政策や全世代型社会保障の構築、財政健全化といった、わが国にとって喫緊の重要課題については、国民に中身がしっかり見える形で最優先に議論してほしい。

野党との関係では、各テーマにおいて同じ意見を持つ政党を巻き込んで議論していくことが肝要であろう。少数与党であるがゆえに、政策の決定に時間とコストを要することとなるが、それが本来の民主主義ともいえる。民主主義の特徴を存分に活かした政権運営をしてほしい。

〔政治資金規正法の再改正や企業・団体献金のあり方に関する議論について問われ、〕政治資金については、透明性の確保とルールの遵守が不可欠である。今後、政党間で議論される際には、この2点を徹底してほしい。

また、民主主義が「参加と責任のシステム」であることを踏まえれば、透明性の確保とルールの遵守がなされている限りにおいては、企業・団体献金はあってしかるべきではないか。ただし、企業・団体献金のあり方は、政党間で議論され、国会で決められることである。

【電気・ガス補助金】

〔政府が電気・ガス代の補助金の早期再開を検討しているとの報道について受け止めを問われ、〕わが国の財政状況をよく考慮すべきである。債務残高対GDP比が250%を超える日本の財政状況は極めていびつである。さらに今後、グリーントランスフォーメーション(GX)の実現等に資する投資促進に向けた、大規模かつ中長期的な財政支出も見込まれる中、金利のある世界で国債の利払い費の増加も懸念される。財政規律は極めて重要であり、財政健全化に目を配る必要があろう。その意味で、ばらまき的な財政支出は控えるべきであり、エネルギーコストの上昇や物価高への対策は、真に困っている方に焦点を絞って行うべきである。

【大阪・関西万博】

〔自身の性加害疑惑報道に関連する訴訟を取り下げた、お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志氏の「2025年日本国際博覧会アンバサダー」への起用について問われ、〕松本氏はこれまで芸能活動を休止しており、アンバサダーの活動も休止している。同氏の今後について詳細な情報が無く、コメントできることはない。

【若手社員の転職志向】

〔若手社員の転職志向が強まっている現状について問われ、〕新卒で入社した会社で定年まで勤め上げる「就社」という日本の労働慣行が徐々に変化し、最近は、自己実現をするためのキャリアビジョンを描いて「就職」する働き手が増えている。そうした就労意識の変化によって、リスキリングなど人材育成に熱心な企業が求職者から選ばれる時代になってきたのではないか。労働市場の流動性が高まり、社会の新陳代謝が進むという意味でも、よいことだと評価している。

以上

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