2014年の会長就任以来、経団連ビジョンに掲げた「『豊かで活力ある日本』の再生」の実現に向けて、政官との緊密な連携の下、鋭意取り組んできた。いまや雇用環境は大幅に改善し、緩やかながらもきわめて長期にわたる景気拡大が実現している。そうした中で迎えた2018年、今年こそ経済再生の足取りを力強いものとし、ＧＤＰ600兆円経済に向けて邁進する年にしていきたい。経団連としては、主に３つの課題に焦点を当てて主体的に取り組む所存である。

第一の課題は成長戦略の推進であり、その中核となるのが、経済界が提唱した「官民戦略プロジェクト10」の推進である。その中でも特に、Society 5.0が重要である。Society 5.0は、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの革新技術の活用により、人々の暮らしや社会全体を最適化した未来社会を意味する。経済成長と社会的課題の解決が両立するこの未来社会の姿は、国連が掲げる持続可能な開発目標（SDGs）の理念とも軌を一にするものである。経団連は、昨秋、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱に、「企業行動憲章」を改定した。日本が世界のフロントランナーになれるよう積極的に取り組んでいく。

第二の課題は構造改革の推進である。規制改革、税制改革など、企業活動を更に促進する制度改革に取り組んでいく。また、国民の将来不安を払拭するため、社会保障制度の持続可能性確保や財政健全化の必要性を強く訴えていく。

第三の課題は経済外交の推進である。米国、欧州、中国をはじめとする主要経済パートナーの政治・経済リーダーとの政策対話等を通じて、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に貢献していく。まずは日ＥＵ ＥＰＡ および ＴＰＰ11の可能な限り早期の実現を働きかけるとともに、アジア太平洋地域における貿易投資に係る高い水準のルールづくりに向けて米国の関与を求めていく。世界経済のけん引役であるアジア諸国とも、緊密で互恵的な関係を強化していく。

さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功ならびに大阪・関西における2025年万国博覧会の誘致実現に向けて、全力で取り組んでいく。

皆さまのより一層のご支援、ご協力をお願い申しあげる。