於 ANAクラウンプラザホテル金沢
経団連会長の榊原でございます。
本日は、永原会長をはじめ、北陸経済連合会の皆様には、ご多忙の中ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
北陸地方経済懇談会の開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
ご案内の通り、日本経済は、安倍政権の一連の政策によって、デフレからの脱却と経済の好循環が始動しつつあります。今後も、回復基調を辿っていくものと考えておりますが、一方で、消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動が予想に比べて長引いております。また、この夏の全国的な天候不順の影響、あるいは労働需給の逼迫に伴う人員不足もあって、企業の生産活動、家計の所得や消費の動向、さらには、為替や株価の動向にも、引き続き注意が必要な状況であると考えております。
今、我々は、経済の持続的な成長を実現し、日本の再興を果たすため、重要政策課題に全力を挙げて取り組むべき局面にあると認識しております。
その中で、まず注力すべきは、地域経済の活性化でございます。始動しつつある経済の好循環を、全国に広げていくことが非常に重要な課題であると考えております。
もとより、地域経済の活性化に向けては、地域の特徴を活かし、地域の自立的な発展を図ることが必要です。この点、各地で「地方消滅」といった言葉が出るほど人口減少が懸念されるなかで、ご当地は、就業率、出生率も高く、さらに幸福度の面など、全国のお手本となるような特徴があると承知しております。また、地域の強みであるライフサイエンス産業、高機能新素材産業、そして観光を核とした成長を目指すなど、誠に適切な取り組みを進めておられると受け止めております。
本日、こちらに伺う前に、北陸新幹線の白山総合車両所を視察する機会を得ました。開業まで半年を切り、地元の皆様の機運も非常に盛り上がっていることと思います。新幹線の開業は、北陸地域が持つ可能性をさらに大きく開花させる絶好のチャンスであります。是非とも、北陸地域が、全国の地域活性化のモデルとしての役割を担っていただくよう期待しております。
さて、日本再興、そしてその本丸である地域経済を活性化させるためにも、成長の牽引役を担う企業がイノベーションを生み出し、グローバル競争の中で果敢に事業を行うための環境整備が重要でございます。
そのためには、まず、規制・制度改革を更に推し進める必要がございます。規制・制度改革は、自由で円滑な事業環境の基盤を整備し、民間が創意工夫を発揮する上で、極めて重要な事柄でございます。
さらに、国際的なイコール・フッティングを実現する観点から、法人実効税率の引き下げも欠かすことができません。経団連では、まず来年度に、実質的な税負担軽減を含む形で、法人実効税率を2%以上引き下げ、3年を目途に20%台とし、そして、将来的にはOECD諸国の平均である25%へと引き下げることを主張しております。
エネルギーの安定供給と経済性の確保も、極めて重要な課題です。震災後、原発の停止などにより、産業用の電気料金が全国平均で約3割上昇しております。大企業、中小企業を問わず、企業は大きな負担を強いられているのが現状でございます。安全性の確保を大前提に、原発の再稼働プロセスを最大限加速する必要があり、引き続き、政府はじめ関係各方面に強く働きかけてまいります。
経団連といたしましては、只今申し上げた点を含め、日本再興に向けた諸課題への取り組みに全力を傾注してまいります。そのためには、北陸地域をはじめとする地方の経済界の皆様と、密接に連携していくことが非常に大事であると考えております。本日は限られた時間ではございますが、ご当地の皆様のお考えをお伺いするとともに、率直な意見交換をさせていただきたいと思います。
それでは、よろしくお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。
(北陸地方経済懇談会の模様については、経団連タイムス10月30日号に掲載)