於 札幌グランドホテル
経団連会長の榊原でございます。
本日は、大内会長をはじめ、北海道経済連合会の皆様には、ご多忙の中ご出席をいただき誠にありがとうございます。
北海道経済懇談会の開催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
まず始めに、本年12月に、道経連が創立40周年を迎えられることを心よりお慶び申し上げます。1974年の設立以来、自主独立の、いわば「開拓者魂」を発揮され、地元の農林水産業、行政や大学など、様々な関係者とも密接に連携しながら、北海道経済の発展に深く貢献してこられたことに対して、心より敬意を表する次第です。
さて、ご案内の通り、日本経済は、安倍政権の一連の政策により、デフレからの脱却と経済の好循環が始動しつつあります。ただ、直近の状況を見ますと、夏場の異常気象による天候不順もあり、個人消費の落ち込みをはじめ、景気指標には変調も見られます。過度に悲観的になる必要はないと思いますが、先行きに注意が必要な状況にあると考えております。
こうした現状を乗り越え、経済の持続的成長を実現し、日本の再興を果たすためには、経済団体が連携して、政府とも協力しながら、重要政策課題に全力を挙げて取り組む必要があると考えております。
まず注力すべきは、地域経済の活性化です。始動しつつある経済の好循環を、全国に拡大させていくことが不可欠であると考えております。そのためには、特色ある地域資源を活かし、地域の基幹産業を成長産業へと磨き上げることが重要であり、この点、道経連が取り組む「食の総合産業化」などは、地域産業のモデルとして高く評価されるべきものと受け止めております。経団連としましても、こうした活動を後押しする施策を求めてまいります。
同時に、成長の牽引役を担う企業が、グローバル競争の中で果敢に事業を行うための環境整備も重要となります。
まず、規制・制度改革を大胆に進める必要があります。規制・制度改革は、民間の創意工夫の発揮を通じたイノベーションを推進するとともに、高コスト構造を是正し、自由で円滑な事業環境を整備する上で極めて重要です。
さらに、国際的なイコール・フッティングを実現する観点から、法人実効税率の引き下げも欠かせません。経団連では、まず来年度に、実質的な税負担軽減を含むかたちで、法人実効税率を2%以上引き下げ、3年を目途に20%台とし、将来的にはOECD諸国平均の25%へと引き下げるべきと考えております。
また、エネルギーの安定供給と経済性の確保も重要な課題です。震災後、原子力発電所の停止などにより、産業用の電気料金が平均で約3割上昇し、中小企業を含めて多くの企業が苦しんでおります。ご当地にも泊発電所がございますが、安全性の確保を大前提に、原発の再稼働プロセスを最大限加速することが必要であり、引き続き、政府はじめ関係各方面に働きかけてまいりたいと考えております。
経団連といたしましては、只今申し上げた課題を含め、経済再生に向けた諸課題への取り組みに全力を傾注してまいります。そのためには、北海道の経済界の皆様との連携が欠かせないと考えております。本日は限られた時間ではございますが、地域経済の活性化策、並びに、エネルギー問題などにつきまして、ご当地の皆様のお考えをお伺いするとともに、率直な意見交換をさせていただければ幸いです。本日は、よろしくお願い申し上げます。
(北海道経済懇談会の模様については、経団連タイムス10月23日号に掲載)