国際情勢が厳しさを増す中、経済と安全保障を切り離して考えることは最早不可能であり、経済面でも安全保障を確保することは喫緊の課題である。

こうした中、政府は、2月25日に「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案」を閣議決定し、今通常国会での成立を目指している。経済界として、この方針を支持する。

同法案は、経済安全保障法制に関する有識者会議が集中的に議論を重ねて取りまとめた提言を踏まえ、基幹インフラの重要設備に関する審査の遡及適用が見送られるなど、全体として経済活動の自由や国際ルールとの整合性に配慮した内容となっている。

一方、各分野の基本指針や政省令に委ねられている制度の具体化にあたっては、事業者に過度な負担が生じることのないよう、対象をできる限り絞り込むべきである。とりわけ、基幹インフラの安全性・信頼性の確保の対象となる事業者や設備の指定にあたっては、中小企業への負担や影響に特段の配慮が求められる。

政府においては、今次法案の速やかな可決・成立に最善を尽くすとともに、法案成立の暁には、経済界の意見を十分踏まえて政省令などを決定されたい。また、わが国産業競争力の強化のために、規制改革の一層の推進、国際標準の獲得、人材の育成・確保などにも並行して取り組む必要がある。