1. トップ
  2. Policy(提言・報告書)
  3. 科学技術、情報通信、知財政策
  4. インターネットエコノミーに関する日米政府への共同書簡

Policy(提言・報告書)  科学技術、情報通信、知財政策 インターネットエコノミーに関する日米政府への共同書簡

〔仮訳/英文正文
2017年4月5日
日本経済団体連合会
在日米国商工会議所

包摂的な経済成長への期待が高まるなか、日米両国における継続的な雇用の創出と経済発展を促進するために、日米が協力してリーダーシップを発揮し、デジタル経済に関する諸問題に対処することが重要である。デジタル経済の推進は、新興のサービス分野にとどまらず、製造業をはじめとした事業の中核にテクノロジーを取り入れているあらゆる伝統的な産業を再び活性化させるうえでも必要不可欠である。政府のイニシアチブや国際的な貿易協定は、持続的な成長と繁栄を実現するために、この現実を踏まえるべきである。

こうした観点から、日米産業界は両国政府に対して次の事項を要請する。

  1. 今後予定されている麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話において、デジタル経済を中核的な議題と位置づけ、日米間のインターネットエコノミー政策に関する二国間対話を強化すること。

  2. データの自由な流通の拡大および安心・安全で信頼できるインターネットの発展などにおいて、日米がリーダーシップを発揮し、デジタル経済を活性化させること。

今やデジタル経済は、業態や規模に関わらずあらゆる企業の成長のエンジンとなっている。デジタルツールやデータによるイノベーションは、生産性を高め、競争を促し、消費者がコンテンツや商品・サービスにアクセスしやすい環境を実現する。両国がそのようなデジタル経済の利益を確実に享受するためには、両国政府が、安心・安全で信頼できるインターネットの障害となりうる事項に対処する必要がある。

よって、日米は、イノベーションを促す経済のプラットフォームとビジネスを支えるために、国際協力を推進すべきである。この目標を達成するためには、デジタル経済のリーダーである日米間の協力が不可欠である。そのためにも、日米産業界は、両国政府がデジタル経済を中核的な議題と位置づけ、日米間のインターネットエコノミーに関する政策協力対話を強化し、以下の重要課題に取り組むことを求めたい。

○ 自由なデータ流通の確保

デジタル経済は国境を越えるデータの自由な流通によって成り立つものだが、新興経済国を含む多くの国々においては、国際的なデータ流通に規制やコントロールをかける動きが見られる。このように経済発展と貿易の障害となるデータ流通の障壁に、日米が率先して対抗すべきである。日米政府は、G7、G20、APEC、WTOなども含め、二国間、地域間、そして国際的な議論の場において協力して、自由な越境データ流通を促進する必要がある。両国のいずれかが参加する貿易協定を新規に締結あるいは改定する際に、日米が二カ国で合意してきたようなデジタル貿易やデータの自由な流通を促す規定を確実に含めることは、日米がデジタル経済においてリーダーシップを示すことができる重要な方法のひとつである。また、日米産業界として、両国政府がAPEC越境プライバシールール(CBPR)の枠組みを引き続き支援していくことを強く求める。

○ 安心・安全で信頼できるインターネットの発展

サイバー脅威のリスクが増大する一方で、経済・社会インフラのインターネットへの依存が高まっていることから、安心・安全で信頼できるインターネットを維持することが極めて重要な課題となっている。よって日米には、これまでもインターネット関連の公共政策の議論に加わってきた民間やその他のステークホルダーの関与を尊重しながら、安心・安全で信頼できるインターネットの発展に向けて国際社会を先導し、これらの課題に取り組むという重要な役割が求められている。われわれは、両国政府による日米サイバー対話の継続を期待する。また、テクノロジーの発展に対応するためには、サイバーセキュリティ対策に関する民間との連携を強化することも重要となる。日米産業界は、様々な自主的枠組みが、インターネットの力を引き出し、安心・安全で信頼できるインターネットを実現するために、その実装において革新的なアプローチと柔軟性が保たれる、調和とバランスのとれたものとなることを望んでいる。

日米経済は、互いの強みを活かす相互補完的な関係へと進化してきた。この補完関係を維持・強化するためにも、デジタル経済を日米経済対話の中核的な議題と位置づけるべきである。国境を越えた自由なデータフローの促進、安心・安全で信頼できるインターネットの実現は、両国がデジタル経済の恩恵を享受するうえで優先度の高い課題である。

日米産業界は、強固な日米関係が極めて重要であるとの認識のもと、今後の両国の協力と連携への強い支持を示すものとして、まずはこの書簡を提出する。今後、新たな課題に官民が共に手をとりあって取り組んでいけることを願う。

以上

※ 本共同書簡は、経団連とACCJ(在日米国商工会議所)が、2017年4月5日にワシントンD.C.で開催した「日米インターネットエコノミー民間会合」において取りまとめ、麻生副総理・ペンス副大統領ほか関係閣僚に提出したものです。

「科学技術、情報通信、知財政策」はこちら