一般社団法人 日本経済団体連合会
会長 榊原 定征
日本商工会議所
会頭 三村 明夫
公益社団法人 経済同友会
代表幹事 小林 喜光
日本再興戦略2016には、生産性革命に向けた更なる改革に取り組むことが明記されるとともに、「我が国を『世界で一番企業が活動しやすい国』とすることを目指し、『GDP600兆円経済』の実現に向けた事業者の生産性向上を徹底的に後押しするため、規制改革、行政手続の簡素化、IT化を一体的に進める新たな規制・制度改革手法を導入する」ことが盛り込まれている。
こうしたなか、内閣府と経済3団体による「事業者の規制・行政手続簡素化に関する調査」を行ったところ、事業者が負担に感じる規制・行政手続として、営業の許認可を筆頭に、社会保険、税、労務管理、行政への入札・契約等が上位となった。また、負担感の具体的内容については、提出書類の作成負担が大きいこと、同様の書類を複数の組織・部署・窓口に提出しなければならずワンストップになっていないこと、同じ手続について組織・部署毎に申請様式等が異なること、手続のオンライン化が全部又は一部されておらず紙等で別途提出が必要なこと、等の回答が多く寄せられた。
これらの課題を解決するためには、行政事務に係る既存の制度・業務フロー・慣行等を抜本的に見直し、国・地方を通じた業務標準化を含めたBPR(Business Process Re-engineering:業務改革)を徹底した上で、「デジタルファースト」「ワンストップ」「ワンスオンリー」「書式・様式の統一」を原則とし、真に実効ある効率的な電子政府を構築すべきである。その際、マイナンバーの利用範囲の拡大や情報連携基盤の対象範囲の拡大、取扱規制の見直し等をすべきである。
こうした取り組みは、生産性革命の基盤であるとともに、行政サービスの効率化や公務員の働き方改革にもつながり、歳出改革の推進にも資する。今般の規制改革推進会議の取りまとめを踏まえ、総理の強いリーダーシップの下、官邸トップダウンで、行政機関の縦割りを排除し、国と地方の連携を実現すべきである。同時に、着実な実行を期するため、規制改革推進会議において、各府省庁等の進捗と達成状況に係るPDCAサイクルを回していただきたい。
※ 本紙は、2017年3月29日に開催された規制改革推進会議において、経済3団体の共同提言として提出したものです。
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