- 内閣総理大臣
- 安倍晋三殿
- 欧州委員会委員長
- ジャン=クロード・ユンカー 殿
- 欧州理事会議長
- ドナルド・トゥスク 殿
EU(欧州連合)と日本はこれまで3年以上にわたり、EPA/FTA交渉を行ってまいりました。交渉は会合にして16回を数え、進展はしているものの、妥結の目処は未だ立っておりません。このような中、交渉の加速化に最大限ご尽力いただき、年内に妥結できるようお願い申しあげたく、欧州および日本の経済界を代表して筆を執った次第です。EUと日本は互いの見解をよく承知しているものと確信しており、今こそ未解決の課題について双方が決断する必要があると考えます。
野心的で包括的な協定が強力なパートナーシップの決め手であり、協定の内容が妥結のタイミングに優先することは疑いのないところですが、急速に変化しつつあるグローバルな事業環境に対応するため、交渉を加速し、時機を失することなく妥結できるようお願いいたします。この点、G7伊勢志摩サミットの際、2016年のできる限り早期に大筋合意に達するとの強いコミットメントを再確認する共同ステートメントが発出されたことを歓迎いたします。不確実な時代にあって、共通の価値観を基盤とする日EUのパートナーシップは、かつてないほど重要になっております。この点、交渉を支持する一つの方法として、日EUの経済界がこの提言を共同で取りまとめたことにご留意いただきたいと思います。
協定の内容面については、EPA/FTAの締結が商業的に意味のある市場アクセスや関税および非関税措置の撤廃につながり、また、調達に関する意欲的な章が協定に盛り込まれるよう、最大限の努力を払っていただくことを要望いたします。さらに、規制が不必要に乖離するような事態を避けるための規制協力に関し、強力なメカニズムが協定に盛り込まれるよう特にご留意いただきたいと思います。そうすることによって、EPA/FTAがグローバル・ルールの基盤となります。このメカニズムには、貿易投資に大きな影響を及ぼすような新たな国内規格・基準に関する早期通報制度や、関係省庁ならびに規制当局の間の意味のある協力を確保するための強固な制度的枠組みが含まれなければなりません。ビジネスヨーロッパと経団連は、分野横断的および分野別の規制協力に関する共同提言も近く公表する予定です。
EUと日本は、それぞれが世界の一大経済圏であり、その両者によるEPA/FTAのメリットは、日EUの枠を超えて広がるものと考えております。大衆迎合的な反貿易の発言とともに世界貿易の減速が懸念されるなか、日EU EPA/FTAを締結することは、持続可能な経済成長を促し、市民の生活水準を改善するための手段として、自由で開かれた公平な貿易を日EUが信奉しているという明確なシグナルを世界に対して発信するまたとない機会となります。日EUのような規模のパートナーにとって、野心的で包括的な内容でなければ、意義ある協定とは言えません。
以上の私どもの考え方をご考慮いただければ幸いです。野心的な協定の早期合意に向けたご尽力を引き続き全面的に支持いたします。
ビジネスヨーロッパ会長 エマ・マルチェガリア |
経団連会長 榊原定征 |
在欧日系ビジネス協議会会長 山本靖則 |
欧州ビジネス協会会長 ダニー・リスバーグ |