一般社団法人 日本経済団体連合会
資源・エネルギー対策委員会
「再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会報告書(案)」には、国民負担の抑制に向けた改革等が盛り込まれており、概ね評価する。そのうえで、以下のとおり意見を述べる。
1.認定制度の見直し
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下、「FIT制度」)発足当初の比較的高い買取価格で設備認定を取得したものの、稼働に至っていない案件が極めて多く、過大な国民負担や、より低コスト・高性能な後発事業者の参入阻害への強い懸念がある。そこで、電力会社との系統接続の契約など事業の実施可能性や事業内容の適切性の確認を認定取得要件とした新たな制度を導入することに賛成する。ただし、短期間に運転を開始することが可能で、かつ設備価格が低下傾向にある太陽光発電については、運転開始時の価格を適用することが適切である。(P.3)
2.買取価格決定方式、コスト負担のあり方
国民負担抑制の観点から、事業者のコスト低減努力を促すような買取価格の設定が必要である。とりわけ、FIT制度発足以来、急激な導入拡大が進んでいる太陽光の買取価格決定方式として、トップランナー方式を採用して入札価格の上限を設定しつつ、入札制度を活用することに賛成する。(P.4~P.5)
東日本大震災後の電気料金上昇により、国民生活や企業活動は大きな影響を受けている。とりわけ、電力多消費産業が受けている影響は深刻であり、賦課金の減免制度の見直しに当たり、政府はその国際競争力の維持・強化への配慮に責任を持つべきである。(P.5~P.6)
3.リードタイムの長い電源の導入方策
FIT制度により導入された再生可能エネルギーの大部分は、高コストであるにもかかわらず事業の立ち上がりが早い太陽光である。それに対し、より発電コストが低いものの事業の立ち上がりまでのリードタイムの長い一般水力や地熱、風力といった再生可能エネルギーや、エネルギーの地産地消の推進に資するバイオマスの導入は進んでいない。このような電源の普及を促進するため、数年先の認定案件の買取価格まで予め決定する仕組みの導入に賛成する。また、事業の予見可能性向上のため、環境アセスメントの迅速化・簡素化が不可欠である。(P.6~P.7)
4.電力システム改革とFIT制度
将来の電力供給の仕組みの基本となる電力システム改革が推進されるなか、自然変動電源の大量導入に伴って必要となる調整電源への投資を含め、経済性ある価格での電力の安定供給が確保されるような電力システムの構築が求められる。(P.7~P.9)
出力制御に関するルールを整備するにあたっては、そもそも、FIT制度の下で導入される再生可能エネルギーが高コストであることを認識し、メリットオーダーでの調整がなされるよう、優先給電ルールを見直すべきである。(P.9)