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Policy(提言・報告書)  環境、エネルギー 「日本の約束草案(政府原案)」に対する意見 -パブリック・コメント募集に対する意見-

2015年6月29日
一般社団法人 日本経済団体連合会
環境安全委員会

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今回取りまとめられた約束草案(政府原案)については、エネルギーミックスをはじめとする個々の具体的な対策を積み上げた(ボトムアップ)、海外クレジットを含めない「真水」で設定されている点を、高く評価したい。

特に産業分野について、「経団連低炭素社会実行計画(フェーズⅡ)」で示した経済界における最大限のCO2削減努力が盛り込まれている。経団連は「低炭素社会実行計画」を着実に推進し、地球温暖化対策に最大限取り組んでいく。

今後、最終的な約束草案のとりまとめや国際交渉、その後の地球温暖化対策計画の策定・フォローアップを行うにあたり、特に以下に留意すべきである。

  1. 1.個々の国内対策を積み上げ、海外クレジットを含めない「真水」で設定するという、わが国の約束草案に関する考え方を堅持すべきである。また、そうしたわが国の考え方について、国際社会に対して周知を図り、十分に理解を求めることが重要である。

  2. 2.わが国の約束草案(政府原案)は、温室効果ガスの削減に関し、以下の点などにおいて、他国の内容と比べて優位性がある。

    1. (1) 対策の内訳を明らかにした透明性・具体性の高いものであり、実効性のある国際的レビューに資するものであること
    2. (2) 目標水準について、他国の約束草案と比較して遜色ないこと
    3. (3) 地球規模・長期の削減に向けて官民の国際貢献や研究開発についても言及していること
      政府は、これらの優位性を活かして、地球温暖化防止の実効性と公平性を確保する観点から、主要排出国を含むすべての国の新しい枠組みへの参加と他国の約束草案の野心度の向上を働きかけるべきである。
  3. 3.COP21で実効ある新しい枠組みが構築された後には、産業分野における国の対策の柱として「経団連低炭素社会実行計画(フェーズⅡ)」を織り込んだ地球温暖化対策計画を策定し、今回のエネルギーミックスや約束草案の基礎となった対策を盛り込むべきである。それ以外の新たな規制的な手法は、民主導の活力ある経済社会の実現を阻害することから導入すべきではない。

    また、京都議定書目標達成計画で十分な成果が上げられなかった家庭部門の対策について、国民運動の推進による省エネ意識の喚起等を行うにあたっては、責任主体を明確にしたうえで、総理を中心とした推進体制を整備すべきである。

    実効ある計画の推進を担保する観点から、部門・対策毎にPDCAサイクルを展開し、フォローアップを実施すべきである。特定部門において想定される成果が上げられなかった場合に、他部門にさらなる削減を求めるべきではない。

以上

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