経団連 産業問題委員会
エンターテインメント・コンテンツ産業部会
わが国コンテンツ産業の市場規模は、約12兆円と米国に次いで世界第2位の大きさを有しているものの、輸出比率は5%にとどまるなど、その潜在能力を十分に生かし切れていない状況にある。
一方で、わが国にとって重要なアジア地域をみると、政府の戦略的かつ手厚い支援を受けた韓国のコンテンツが積極的にマーケティングを展開し、市場の相当規模を押さえつつあり、わが国は大きく後塵を拝する状態にある。
自国のコンテンツが海外に浸透していくことは、コンテンツ産業の利益にとどまらず、日本の文化や商品・サービス全体の認知度・イメージアップ、さらには国全体の海外での影響力をより一層高めることにつながる。
現状を打開し、わが国の再生・成長を実現するため、国を挙げて戦略的な海外展開を進めるべくあらゆる方策を検討・実行すべきである。その中でも国際競争上の不利の緩和は喫緊の課題であり、下記の支援策について今次補正予算での対応を強く求める。
1.海外市場獲得を狙うコンテンツのローカライズ等に関する財政的支援
多様で高品質なコンテンツを海外に展開することは、わが国全体のブランド力、影響力向上にも資することとなる。国は所要の審査を経てその価値が認められるコンテンツに対し、ローカライズの為の一定の補助を行うことが望ましい。また、海外展開をより効果的に行うためには、各種プロモーション活動への補助の拡大・強化も重要である。
日本のコンテンツがアジア市場で韓国のコンテンツに大きく遅れを取る現状を打開するため、政府は、わが国コンテンツのローカライズ等を継続的に支援するために十分な額の基金を一刻も早く創設すべきである。
2.日本のコンテンツによる海外広報を担う「ジャパン・チャネル」の創設
海外における日本のコンテンツの認知度を高め、ひいては個別の事業者の外国メディアとの交渉力を高めるためには、海外において日本のコンテンツの継続的な放送・配信等の場を確保する必要がある。
そのため、ニュースやドキュメンタリーも含め網羅的な海外発信を行っているNHKワールドTVとの役割分担等を勘案しつつ、日本のエンターテインメント・コンテンツを中心とする「ジャパン・チャネル」を創設すべきである。