(社)日本経済団体連合会
1.調査要領
(1) 調査目的 : | 企業の2011年3月大卒等新卒者の採用活動を総括し、 次年度に向けた動向を把握することを目的に1997年度より実施。 |
(2) 調査対象 : | (社)日本経済団体連合会企業会員のうち1,274社を対象 |
(3) 調査形式 : | 無記名式アンケート(業種・企業規模のみ記入) |
(4) 実施時期 : | 2011年7~8月 |
(5) 回答状況 : | 545社(回答率 42.8%) |
* 製造業 45.0%、非製造業 54.0% * 従業員数1000人以上 75.8%、500人以上~1000人未満 12.8%、500人未満 10.1% (業種・企業規模の無回答が1.3%) |
2.調査結果の概要
(1) 採用実施企業割合は3年ぶりの増加、2012年3月卒の採用予定は上向き
2011年3月卒業者の採用活動を実施した企業割合は95.4%と前回調査(2010年3月卒採用)より4.3ポイント増加し、3年ぶりの増加となった。
前年(2010年3月卒採用)の採用人数に対し、「増加させた」とする回答が38.1%となり、前回調査と比べ23.9ポイント増加したのに対し、「減少した」は36.3%と32.4ポイントの減となった。採用人数増加の理由としては、「業績の回復、事業拡大」が54.5%で最も多かった。
また、2012年3月卒採用を実施する予定の企業割合は、震災前は92.5%となっており、震災後に採用計画を「減らす」とした企業も22社にとどまった。
(2) 引き続き買い手市場の傾向
就職採用市場に関する設問では、「(2010年3月卒採用に比べて)特に変化はなかった」が55.8%となっている。前回調査では「買い手市場であった(64.1%)」とする企業が大幅に増加しており、その傾向が続いている。
(3) 採用選考時に重視する要素の第1位は8年連続で「コミュニケーション能力」
企業が選考にあたって重視した点を25項目から5つ回答する設問では、「コミュニケーション能力」が8年連続で第1位となり、上位5位までの項目も2010年3月卒採用の場合と同様の順位であった。
2011年3月卒採用の特徴として、「専門性」や「語学力」を重視する傾向が若干高まっていることが挙げられる。
(4) 既卒者の受け付け状況…新卒採用と同様の扱い
既卒者の応募受け付けについて、「実施している」と「2012年4月入社対象の採用選考活動から実施予定」をあわせると68.0%となり、そのうち、新卒採用と同様の扱いで受け付ける企業は80.7%あった。なお、66.5%の企業が応募の条件を設けており、条件としては「卒業後の年数」が73.0%と最も多く、そのうち81.3%が「3年以内」と回答している。
(5) 学事日程の尊重への対応策
新卒採用活動における「学事日程の尊重」への対応策を聞いた設問では、74.4%の企業が学生の申し出により採用選考日程の調整や変更を認めており、54.0%の企業が適性検査・筆記試験等をWEBテストやテストセンターでの実施に切り替えたと回答している。また、「広報活動であることの明示」を実施した企業は76.3%であり、学生への負担を軽減しようとする企業の努力がうかがえる。
(6) 2013年以降の入社対象者に関する「採用選考に関する企業の倫理憲章」の見直し
2011年3月15日改定の倫理憲章では、新たに採用選考活動の開始時期を「広報活動:卒業・修了学年前年の12月1日以降」、「選考活動:卒業・修了学年の4月1日以降」と規定した。
このうち、広報活動の開始時期を新設したことについて「評価する」と回答した企業は74.3%に上り、開始時期を「12月1日以降」としたことについても67.2%の企業が「評価する」と回答した。
また、選考活動の開始時期を現状の「4月1日以降」で維持した点についても76.0%の企業が「評価する」とし、「評価しない」とした企業は16.1%にとどまった。
また、インターンシップについても「採用活動とは一切関係ないことを明確にして行なうこと」と規定したことについて、84.0%の企業が評価すると回答している。
(7) 被災学生等への配慮
採用選考に際し、被災学生等へ何らかの対応を行なった企業は91.7%であり、具体的な内容としては「被災、影響を受けた学生については個別に対応する」が63.9%で最も多く、「選考開始時期を全体的に遅らせた」が48.5%、「エントリーシート等提出書類の締め切りを延長した」が40.0%だった。
そのほか、東北地方に採用選考会場を設けたと回答した企業も多く、企業が様々な配慮を行なったことがうかがえる。
新卒採用(2011年3月卒業者)に関するアンケート調査結果
(PDF形式/12ページ)