2011年1月21日 (社)日本経済団体連合会 知的財産委員会 企画部会 |
近年、技術的制限手段回避装置等の氾濫、技術の高度化、ITの進化により、コンテンツの不当な利用が増加し、コンテンツ事業者の利益の回収が困難となる等さらなる規制の必要性が生じている。
このような中、本報告書においては、「II.「のみ要件」の見直しなど技術的制限手段回避装置等の提供行為に係る民事規定の適正化」、「VI.技術的制限手段回避装置等の提供行為に対する刑事罰の導入」、「VII.技術的制限手段回避装置等に対する水際措置の導入」について、積極に解しており妥当である。
一方、「III.技術的制限手段の回避行為に対する規制の在り方」、「IV.技術的制限手段の回避サービスの提供行為に対する規制の在り方」、「V.技術的制限手段回避装置等の製造行為に対する規制の在り方」については、現時点の改正は見送られている。これらの論点については、新たな規制の導入に向けた一定の必要性は認められるものの、規制の強化により情報技術の開発が阻害され、かえってコンテンツの流通を妨げ、コンテンツ事業者と関連機器の製造・提供事業者、ユーザーとの好ましい関係を構築する可能性を阻害するおそれがあり、さらに十分な検討がなされる必要があることから本報告書の結論は妥当である。
もっとも、技術的制限手段回避装置等の規制については、さらなる技術の進展や、被害状況、他法令の規制等の状況変化も踏まえ、今後とも必要に応じ、その本質的なあり方も含めた検討がなされるべきである。
なお、ユーザーに対する教育・啓発活動は民間のみでは限界があり、政府の積極的な関与についても言及されたい。