(仮訳/正文英文)
2010年12月7日
【技術】
- 費用対効果に優れた低炭素技術の商品化は、とりわけ長期的に温室効果ガスの排出を削減する上で最も重要な要素の一つである。
- 技術の開発・採用に関する商業ベースの取引は、国際的な支援やオフセット・プログラムを通じて実施されるものも含め、技術の普及を加速する上で極めて重要である。国際的な気候関連技術の活動は、こうした商取引の役割を補完・強化するものであるべきである。
- 知的財産権の尊重を含め、クリーン技術のより広範な商業利用を可能とする枠組は、技術開発・商品化の必須要件である。
- 技術を活用する環境整備の問題はしばしば看過されがちであるが、技術に関する活動は、それを可能とする枠組や、インフラの整備、効率的なエネルギー・システムの構築、人材育成、能力開発などにも向けられるべきである。
- 国連気候変動交渉のプロセスで提案されている技術実行委員会(Technology Executive Committee)と気候関連技術センター・ネットワーク(Climate Technology Centre and Network)は、技術中立的であるべきである。
- 関係国政府は、これまで官民連携を強力に推進してきたAPP(アジア太平洋パートナーシップ)の経験にも留意すべきである。
- 過度に官僚的な技術メカニズムは、民間部門の参加を促さない恐れがある。
【低炭素社会への道筋(Low Carbon Pathway)】
- 「低炭素社会への道筋」は、それが十分に検討され、オープンな協議・レビューに付され、さらに根拠となる情報とともに公表される場合のみ、各国の政策のガイドとなったり、国際的な信頼を得ていくものとなり得る。
- 計画そのものより重要のものがプロセスである。「低炭素社会への道筋」は、効果的な取組みを行うために継続的に改善を重ねる手段を具体化する、柔軟かつ現在進行中のプロセスの一環である必要がある。グローバル経済や国際的な政策における技術の予期せぬ進歩は、仕組みを根本から変え得る。
- 関係国政府は、「道筋」の進捗状況を逐次報告し、国内外の経験や実績に基づき、更新すべきである。進捗状況の客観的報告を頻繁に、毎年程度の頻度で公表するとともに、例えば4年毎に定期更新すべきである。
- 協議は重要なカギを握る。「低炭素社会への道筋」に沿って、投資の意思決定を行い、異なる市場環境に様々な段階で対応するのは、あくまで民間ビジネスである。従って、「道筋」の絵姿を描く際には、民間ビジネスが密接に参画すべきである。
- 「道筋」はガイドであり法ではない。拘束力を伴う約束や立法とは別物である。但し、「低炭素社会への道筋」は、現行の政策や今後の実施計画に裏付けられた政策の意思を説明するものでなければならない。「道筋」は厳格な国内法の規定ではない。
【市場の役割の見通し】
- 民間ビジネスは、市場を資源の効率的な配分を促進する重要なツールとみなしている。炭素市場は、それより遥かに大きく広範な低炭素インフラや技術開発における国際投資の流れを形成する。
- 新しい国際枠組は、気候変動問題に対応する多様な市場ベースの国内政策やその他の政策を許容すべく、十分柔軟なものでなければならない。これにより、各国が異なる戦略を追求したり、学習することが可能となる。
- 炭素市場を緩和策として採用する政府は、効率性向上および規模拡大のための方策として、異なる市場間の直接・間接の連繋確立を検討すべきである。
- 経済界の信頼を維持し、クリーン開発メカニズム(CDM)を必要とする先進国および途上国の資金の規模を拡大しようとするのであれば、CDMは、運営および範囲を大幅に改善する必要がある。
- CDMや他の新しいメカニズムにおいて承認されるオフセットは、技術中立的なものでなければならない。技術の選択は市場に任せるべきである。
- セクター別メカニズムは、適切に構築されれば、緩和のためのファイナンシングを促進する確固たる方法を潜在的に備えている。しかし、その手続き上のインセンティブは、投資や努力を行う事業者に直接与えられるべきであり、単にセクターに与えられるべきではない。
- NAMA(途上国の削減行動)については、現在の市場や他のメカニズム、それが追求すべきと考えられる場合のセクター別クレジティングとどのように関連するのか、より明確化していく必要がある。
- 政府は、クリーン・エネルギーに係る財・サービスの自由貿易を精力的に推進すべきである。
【測定・報告・検証(MRV)の見通し】
- 国連気候変動交渉のプロセスで提案されている政策や行動、とりわけ温室効果ガスの削減と技術開発・普及を目指すものは、環境と同様、国内外の経済、成長、雇用、競争力、経済発展に重要な影響を及ぼすと考えられる。
- 民間ビジネスは、気候変動政策を実施するための努力を政府が透明な形で測定、報告、検証するとともに、何らかの形で報告がレビューされるべきとの考えを支持する。
- 測定・報告・検証(MRV)に関する解釈は様々である。現在のAWG-LCA(条約作業部会)の交渉における議論はもっぱら、エンフォースメントではなく、透明性を確保する手段として、MRVに焦点を当てている。
- 無駄と重複を最小化するため、可能な限り、経済界や各国政府によって実用化されている既存のMRVの方法論や慣行を利用すべきである。しかしながら、NAMAのように新しい政策提案がある場合には、新しい方法を確立することが必要になるかもしれない。
- MRVは、先進国や新興国、途上国にとって、受け入れ可能なものであるべきである。
- MRVは、国際貿易を制限するツールとして用いられるべきではない。
- ビジネスは、MRVのために活用可能な経験を有しており、支援を行う用意がある。
- 豪州商工会議所
- 豪州産業グループ
- ビジネスヨーロッパ
- カナダ経営者評議会
- 英国産業連盟
- インド工業連盟
- デンマーク産業連盟
- イタリア産業連盟
- ドイツ産業連盟
- 環境と持続可能なためのイニシアティブ(メキシコ)
- 韓国商工会議所
- フランス産業連盟
- 日本経済団体連合会
- 全米商業会議所21世紀エネルギー研究所
- 米国国際ビジネス評議会