経団連(十倉雅和会長)の髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長、齋藤洋二同企画部会長らは9月24日、東京・大手町の経団連会館で、ギリシャのオルガ・ケファロヤニ観光大臣と懇談した。ケファロヤニ大臣の発言概要は次のとおり。
ギリシャはこの5年間、ミツォタキス首相のリーダーシップのもと、経済改革を進めてきた。経済危機を乗り越え、近年はEU平均を上回る成長を実現している。そのなかで観光業は、直接・間接の貢献額がGDPの20%以上に相当すると推定されており、経済成長の牽引役となっている。2023年に、観光収益は約220億ユーロと過去最高を記録しており、24年はさらなる伸長が見込まれている。
観光は多くの投資を呼ぶ分野である。政府は、外資誘致に向け、ビジネス環境の整備にも取り組んでいる。例えばホテルの建設には多くの省庁の許可が必要だが、これをワンストップでできるようにした。その結果、この数年で高級ホテルも含め、多くのホテルが新設された。
ギリシャは世界的にも有数の観光地である一方、特定の時期に一部の観光地に旅行客が集中するというオーバーツーリズムが問題となっている。そこで、人気の沿岸部のみならず、まだあまり知られていない地域の観光資源の開発やプロモーションにも注力している。山岳地域では、農業やワインといった食文化にも焦点を当て、アグリツーリズムも推進している。
観光分野でもデジタル化が重要である。23年、人気の観光地の一つであるロードス島で森林火災が発生し、住民や観光客を避難させる事態となった。この経験を踏まえ政府は、AI技術を使用した「mAiGreece」という観光客向けの多言語対応アプリを開発した。観光情報のみならず、自然災害等の緊急事態発生時には、旅行者に必要な情報を届けることが可能である。
24年は「日本・ギリシャ観光文化年」である。両国間の観光客の拡大に向け、日本との間で直行便が就航されることを期待している。多くのギリシャ人は日本の伝統やホスピタリティを尊敬しており、日本に行きたいと思っている。人の往来が増えれば、ビジネスの促進にも寄与するだろう。
【国際経済本部】