経団連は5月27日、東京・大手町の経団連会館で「経団連 Startup Summit 2024」を開催した。同イベントは、2027年までにスタートアップの数・成功のレベルを共に10倍にするという目標「10X10X」の実現に向けて、現状認識を共有し、アクションを加速すべく開催したもの。岩田和親経済産業副大臣を来賓に迎え、大企業・スタートアップ・大学・行政等から約240人が参加した。概要は次のとおり。
■ 第2回スコアリング結果と目指すべき連携の姿
冒頭、入山章栄早稲田大学大学院経営管理研究科教授が、「スタートアップフレンドリースコアリング」の概要と第2回結果(24年1月実施)を説明。髙橋誠スタートアップ委員長は「スコアリングによって、企業の目指すべき方向性が分かりやすくなる。結果を踏まえた分析こそが重要」と意義を述べた。入山氏は「自社を見つめ直す良いきっかけになると思う。日本を変えるには経団連が変わることが一番。ぜひ次回スコアリングにも参加をお願いしたい」と呼びかけた。
続いて、目指すべき連携の姿について議論した。髙橋委員長は、「今後はスタートアップも小規模なIPOにとどまらず、グローバルでの活躍と成功を狙う必要がある。海外展開は大企業が支援できる部分でもあり、同時に、スタートアップ自身も高い目標を持ち、世界を目指していくべき」と強調したうえで、「スタートアップが日本を元気にすることは間違いない。世界の視線がもっと日本に集まるよう一緒に頑張りたい」と締めくくった。
■ スタートアップ政策のレビューと今後の課題
続くセッションでは、まず南場智子同委員長から、スタートアップの数は2年で1.5倍に増加したが、成功レベルはまだ引き上げられていない状況と説明。同日発行した「スタートアップ躍進ビジョン レビューブック2024」に沿って、提言の実現状況と残された課題を整理した。
岩田副大臣はこれを受け、「10X10Xの実現にはやるべきことがまだある。政府は本気でスタートアップ政策に取り組んでおり、さらに熱を上げていかなければならない」と応えつつ、経産省の施策を紹介した。
その後の議論で、官民に必要なアクションとして、南場委員長は、人材の流動化および中途採用者の幹部登用、スタートアップと親和性の高い分野での重点的な調達等を挙げた。加えて、世界で活躍する大学発スタートアップの拡大・成長が日本の勝ち筋であると課題を提起した。
岩田副大臣は「失われた30年を打破するのがまさにイノベーションでありスタートアップ。かつそのなかでも、日本が注目される根幹はやはりディープテック」と強調。最後に南場委員長は「これからも官民で力を合わせ、互いに呼応しながら大きな変革を起こしたい」と締めくくった。
◇◇◇
セッションの後、(1)塩野義製薬、ピクシーダストテクノロジーズ(2)三菱UFJ銀行、SkyDrive(3)電通、ユーザべース、NewsPicks Studios――の3組から、大企業とスタートアップの連携事例を紹介。イベント終了後には、参加者による活発なネットワーキングが立食形式で行われた。
また、前述の「スタートアップ躍進ビジョン レビューブック2024」のほか、同イベントにあわせて、スコアリング結果概要、スコアリングハイスコア企業の事例集を公表、経団連ウェブサイトで公開した。
【産業技術本部】