経団連は3月18日、サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループ(梶浦敏範主査)をオンラインで開催し、総務省総合通信基盤局電気通信技術システム課の恩賀一安全・信頼性対策室長から、電気通信分野の事故報告・検証制度等の今後のあり方について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ 事故報告・検証制度等タスクフォース設立の背景と検討事項
総務省は、これまで、社会への影響が大きい重大事故について、2015年に設立された「電気通信事故検証会議」において、当該事故当事者の通信事業者に対するヒアリングや再発防止に向けた教訓の整理等を行い、同様の事故の再発防止や被害軽減に努めてきた。
事故報告・検証制度等タスクフォースを設立した背景としては、昨今の自然災害やサイバー攻撃といった発生自体が不可避なグローバルリスクの深刻化、外国企業をはじめとした多様な通信事業者の参入や通信サービスの提供、新型コロナウイルスの感染拡大による遠隔・非接触サービスの急速な普及、5G本格展開等による他の重要インフラとの相互依存の深化、クラウド化やネットワークの仮想化といった新たな技術等の導入やそれに伴うマルチステークホルダー化等の環境変化が起きていることが挙げられる。
今後の主な検討事項としては、事故報告における重大事故の基準や事故検証会議のあり方等について、これからの時代に合わせた枠組みが挙げられる。
今後、意見募集や事業者ヒアリング等を通じて、検討を深めていく予定であるため、ぜひ意見を寄せてほしい。
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講演後の意見交換においては、(1)高度化・複雑化が日々進んでいる通信インフラの事故報告や検証制度のあり方について、多様な関係者を巻き込んだ活発かつオープンな議論を進めてほしい(2)重要インフラ間における相互依存の深化に伴い、電気通信分野等における事故発生時の報告先が複雑化していることから、報告窓口の一本化やNISC等の関係機関間の連携等を通じた事業者における報告負担の軽減等を図ってほしい――といった意見・要望が寄せられた。
【産業技術本部】