経団連の榊原定征会長は11月27日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
榊原会長は、企業の事業主拠出金に言及。消費税率を10%へ引き上げる際、使途を見直し、子ども・子育て支援に活用することは経団連の考えと合致すると指摘。国民全体が消費増税によって追加的な負担をする以上、経済界も大胆な少子化対策に応分の負担を行うとして、待機児童の解消に向けた「子育て安心プラン」の前倒し実現に協力したいとの考えを示した。そのうえで、幼児教育・保育の無償化はバラマキにつながらないよう真に必要な経済的支援に限定すること、児童手当特例給付金の廃止、労働保険料率の引き下げ、将来的な子ども子育て支援策は税財源で確保することもあわせて求めていくと述べた。また、中小企業にとって事業主拠出金の負担は大きいとの懸念は理解できるとして、労働保険料率の引き下げなどの負担軽減策とあわせて、事業のPDCAをしっかり回すことが必要だと強調し、政府の真摯な対応に期待を示した。
法人税について、賃上げや設備投資が不十分な企業を租特の対象から外すことを検討するとの報道は承知しているとした。17日の未来投資会議で自ら安倍総理に、2020年までの3年間の集中投資期間の設備投資や賃金引き上げを強く促すため、投資等に前向きな企業の法人税、固定資産税の税負担を大幅に軽減するなどの対応を要望したことに言及。これを受けて、現在税制改正の検討が進んでいるとの見解を示した。
また、所得税改革をめぐり、高所得者の控除の減額が検討されていることは時代の要請と変化に合致したもので、改正は必要だと述べた。扶養控除についても、世帯単位での控除のあり方を検討する必要があるとの認識を示した。
福井県の西川知事が関西電力大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に同意するとしたことについては、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原子力発電所は、地元の同意を前提に速やかに再稼働することが必要だとして歓迎の意を示した。事業者や政府等関係者には引き続き、新規制基準に適合した原子力発電所の安全性について丁寧に説明し、地元住民や国民の理解を深めてほしいと述べた。
企業不祥事をめぐっては、日本を代表する大企業で不祥事が続いており、日本の製造業への信頼に影響を及ぼしかねない深刻な事態と受け止めていると述べた。そのうえで、すぐに日本の製造業全体への信頼が揺らぐとは思わないが、危機意識を持ち、初心に戻って信頼を回復していかねばならないと強調。経団連は改定した企業行動憲章により、企業トップが実効あるガバナンスを構築し、社内とグループ企業に周知徹底を図るよう求めており、引き続き本憲章の徹底を呼びかけていくとした。
【広報本部】