経団連のアメリカ委員会(石原邦夫委員長、早川茂委員長、村瀬治男委員長)は11月7日、東京・大手町の経団連会館で、米国アーカンソー州のエイサ・ハチンソン州知事一行との懇談会を開催した。早川委員長の司会のもと、ハチンソン州知事から、日本との関係や同州のビジネス環境について説明を聞くとともに、参加者との間で活発な意見交換が行われた。ハチンソン州知事の発言の概要は次のとおり。
■ 日本との関係
1980年代のビル・クリントン州知事の訪日を契機に、州政府事務所を日本に設け、関係強化に努めてきた。現在、アーカンソー州内に進出している日本企業は22社であり、 雇用総数約6000人は、同州における外国企業による雇用者数第1位を占める。
今後も日本企業の成長のパートナーとして長期的関係を築いていきたい。ビジネスを行ううえで何か問題がある場合には、いつでも相談していただければ、チームとして全力で支援する。また、今後、経団連ミッションのアーカンソー州訪問も検討してほしい。
■ アーカンソー州の経済環境
2015年に州知事に就任して以来、貿易や投資を通じた経済成長実現という目標のもと、アーカンソー州を世界で最も競争力のある場所とするべく、規制緩和によるビジネス環境の改善などに取り組んできた。
アーカンソー州は米国の真ん中に位置し、車を1日運転すれば、米国全土の3分の2をカバーすることができる。また、勤勉で倫理観の高い労働者に恵まれている。さらに、エネルギーや物流コスト、税金の安さ、生活の質の高さ、良好な財政状況などの強みを持っている。
主要産業は農業、観光業、製造業である。特に、IT産業は、すべての産業を下支えするものとして重視している。全世界から優れたIT人材を集め、スタートアップ企業の育成・支援を行いたいと考えている。加えて、コンピューターサイエンスをすべての高校で必修科目とし、優れたIT人材を輩出していることは特筆すべきである。
今後は、食品加工産業にも力を入れたい。
■ 自由貿易の重要性
アーカンソー州の輸出は輸入を上回っており、州にとって貿易は大変重要である。州知事として、トランプ大統領に対してグローバル貿易の扉を開けておくべきであると伝えている。
日本と二国間貿易協定について協議しようとも、あるいは、多国間貿易協定交渉に臨もうとも、相互に市場を開放し、競争力を強化することが必要である。
【国際経済本部】