1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2017年8月10日 No.3327
  5. 夏季フォーラム2017

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年8月10日 No.3327 夏季フォーラム2017 -第3セッション「今後のエネルギー政策」「通商政策のあり方」「活力ある中間層の形成と格差是正」テーマに分科会形式で討議

夏季フォーラム第3セッションでは、「S+3E実現に向けた今後のエネルギー政策」「通商政策のあり方」「活力ある中間層の形成と格差是正」をテーマに、参加者間で分科会形式により討議を行った。各分科会での討議の主なポイントは次のとおり。

■ 第1分科会「S+3E実現に向けた今後のエネルギー政策」
(議長=木村康副会長)

木村副会長

冒頭、議長の木村副会長から、わが国が直面しているエネルギー制約と、それを踏まえたエネルギー政策の基本方針について説明。「エネルギーベストミックスの実現に向けて重点的に対応すべき点は何か。また、新たなエネルギーシステムの構築に向けてどのような取り組みが必要か。多様な視点からご意見をいただきたい」との発言があった。

続いて問題提起として、岡本毅副会長から、「S+3E(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)のバランス、とりわけ経済性の観点からは、化石燃料の経済合理的調達や、エネルギー利用を最適化するエネルギーネットワークの形成が重要」、進藤孝生副会長からは、「国際競争に晒されるわが国製造業にとって国際的に遜色のないエネルギーコストは不可欠。3Eのバランスを持続的に確保するエネルギー政策と、それに立脚した温暖化対策を策定すべきだ」との発言があった。

これらを踏まえ、その後の意見交換では、S+3Eの実現に向けて「人材・技術を維持し安全性を確保して原子力発電を活用することが重要」「地域の特性に合ったスマートなエネルギー需給を実現すべき」といった意見が出された。

■ 第2分科会「通商政策のあり方」
(議長=小林健副会長)

小林副会長

はじめに、議長の小林副会長から、「通商国家である日本は、海外との取引によって戦後70年の歴史を形成してきた。だが、世界の貿易量の伸びはGDPの伸びを下回り始めており、これは由々しき事態である。こうした通商をめぐってわれわれが直面する、未知の事態について議論したい」との発言があった。

続いて問題提起として、村瀬治男審議員会副議長から、「トランプ政権が発足したものの、不安定な状況がいまだ続いている。二国間協定よりもTPP11の実現を優先させるべきである」、伊藤雅俊審議員会副議長から、「日本人の責任感・仕事の質の高さへの信頼は厚い。それを活かし、新興国との関係を構築して、新興国が発展する手助けをすべきである」、遠藤信博審議員会副議長からは、「今後、あらゆる人・モノ・カネ・コトが情報・ICTと結びつき、Society 5.0が進展する。経済格差やイデオロギー対立が顕在化するなかで、健全な経済成長を実現するためには、経済社会の安心・安全を担保しなくてはならない」といった発言があった。

これらを踏まえ、意見交換では、「これまで経団連がアメリカに対し行ってきた日本への理解促進の活動をさらに進展させる必要がある」「ウーマノミクスなどを通じた新たな市場創出を意識しつつ、新たな通商のあり方を考えなくてはならない」といった発言があった。

■ 第3分科会「活力ある中間層の形成と格差是正」
(議長=岡本圀衞副会長)

岡本副会長

まず、議長の岡本副会長から、「国際的には、経済成長の果実の富裕層への集中が社会的分断を招き各国の政治情勢に影響を与えた。日本でも、中間層の弱体化は、経済の好循環や経済・社会の安定を揺るがしかねない。そこで本日は、活力ある中間層の形成と格差是正について議論したい」との発言があった。

佐藤康博審議員会副議長から、「日本では、世帯年収の低所得化が進み、中間層が瓦解した。非正規雇用者は、賃金だけでなく各種制度の適用でも不利な処遇を受けている。就学前教育と高等教育の家計負担が大きい。格差是正に向けた経済成長による所得の底上げに向けた環境形成が重要だ」と、格差全般、中間層、雇用、教育に跨る広範な問題提起があった。

これを受け、その後の意見交換では、雇用格差について、「非正規雇用の正規化が必要」「正社員にこそ処遇のあり方の見直しが必要」「就業意欲ある高齢者を活用すべきだ」といった発言があった。また教育格差については、「結果平等ではなく機会均等を重視すべきだ」「学びのセーフティーネットという考え方が重要だ」といった発言があった。

【政治・社会本部】

「2017年8月10日 No.3327」一覧はこちら