経団連は2月21日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)を開催し、インドのIT業界団体であるNASSCOM(インドソフトウェア・サービス協会)と意見交換を行った。約2年半ぶりとなったNASSCOMとの意見交換では、近年の技術革新を踏まえて、今後の日印連携について議論が行われた。
会合の冒頭、武山部会長から、第4次産業革命の到来に向けて各国がしのぎを削るなかで、日本ではSociety 5.0の名称で官民を挙げた取り組みを進めていることを紹介した。また、最近の政策動向として、個人情報保護法の改正、マイナンバー制度の開始、官民データ活用推進基本法の制定など、データ利活用推進に向けて環境整備を進めていることを説明した。
その後、NASSCOM訪日団代表のマヌ・パルピァ・ジオメトリック社MD兼CEOからインドのIT産業の現状や魅力について説明があった。説明の概要は次のとおり。
NASSCOMはインドを代表するIT業界団体であり、会員は2000社を超える。インドのIT業界は急成長を続けており、輸出の貢献が大きいが、日本への輸出割合は2%にも満たない。
IoTの普及に伴って、製品に占めるソフトウェアの重要性はさらに増していく。こうしたなかで世界の企業はインドの能力の活用を進めている。日本企業にも研究開発などに強みがあるインドの能力をぜひ活用してほしい。日本が目指しているSociety 5.0の実現にも貢献できると思う。
インドはスタートアップの企業数が世界第3位であり、アカデミアでは年間150万人の工学系の学生が卒業し、サービスプロバイダーやCoE(組織横断的研究拠点)も充実しているなど、成長を支援するエコシステムがある。
こうしたインドの能力を活用することで、日本が他国の市場に参入する手助けもできると考えている。両国の強みを活かすことでよりよい関係を築くことができると考えており、今後とも日印連携をより深めていきたい。
<意見交換>
意見交換では、Society 5.0に関して、「インドとしてどう関われるか」といった質問が相次ぐなど関心の高さがうかがえた。
経団連からデータの利活用推進に向けてデータの自由な流通が重要との意見が出ると、「われわれも国境を越えてヒトやデータが自由に行き来することが産業の発展にとって重要と考えている」「日印がサイバーセキュリティーやプライバシー等の分野で連携することが重要」との指摘があった。また、仮想通貨やブロックチェーンといった新たな技術動向についても両国の状況について紹介があり、今後の可能性について意見が交わされた。
最後に、日印の協力関係をより緊密なものにするため、引き続き対話を行うことが重要であることが確認された。
【産業技術本部】