経団連は2月23日、東京・大手町の経団連会館でアメリカ委員会企画部会(守村卓部会長)を開催し、外務省北米局の髙羽陽北米第二課長ならびに経済産業省通商政策局の小見山康二米州課長から、日米首脳会談の成果とこれを踏まえた今後の日米関係を中心に説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。
■ 髙羽外務省北米第二課長
安倍総理の訪米では所期の成果を得ることができた。特に大きな成果は第1に、日米同盟が揺るぎないものであることを国内外に示したこと、第2に、両首脳が信頼関係を築き、日米同盟強化で一致したこと、第3に、麻生副総理とペンス副大統領のもとに経済対話の立ち上げを決定したことの3点である。なお、新たに立ち上げられた日米経済対話については、開催時期、具体的なテーマとも調整中である。
トランプ政権の経済政策・通商政策に関する基本スタンスは、(1)米国第一主義、とりわけ第二次産業を中心とする国内雇用創出(2)規制改革や減税を通じた小さな政府の実現(3)「公正な」貿易の実現――である。米国第一主義や「公正な」貿易は保護主義的な政策に結びつきかねず、結果、日米関係にも影を落としかねない。こうした懸念に対処すべく、経済対話を有効に活用していきたい。
米国の短期的経済動向として、移民の入国制限による労働供給の制約やNAFTA再交渉等はマイナスの影響を与える可能性がある。減税や規制改革、インフラ投資を通じた需要喚起は、中期的にプラスの要因である。現在の市場は、トランプ政権の経済政策のうち、これらの中期的プラス要因への期待に下支えされているといえるが、具体化されなければ期待が裏切られ逆効果となる。また、政権の安定性、対外関係のマネジメント力も中期的経済動向を左右する要因となり得る。行政府が連邦議会と調整して所要の法整備を進められるか注視していきたい。
■ 小見山経済産業省米州課長
日米首脳会談後に発出された共同声明のポイントとして主に、(1)国内および世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融および構造政策という3本の矢を用いること(2)貿易・投資ルールについては、TPP(環太平洋パートナーシップ)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を推進すると同時に二国間の枠組みを議論すること(3)インフラやエネルギー、サイバー、宇宙など両国の経済的利益を促進するさまざまな分野でウィンウィンの関係構築を確認したこと――が挙げられる。これらの課題については、日米経済対話で具体的に議論されることになる。
今回の首脳会談の場でも日本政府として、米国の貿易赤字に占める日本の割合は過去と比していかに低いか、日本企業が米国経済にいかに貢献しているのかなど、データに基づいて実態をしっかり米国側に訴えた。今後、両国の間で具体的なプロジェクトに関する協力を積み上げていくことが重要であり、経済界とも相談しながら進めていきたい。
【国際経済本部】