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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年2月2日 No.3302 エネルギー情勢をめぐる最近の動向聞く -資源・エネルギー対策委員会

経団連は1月13日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会(高橋恭平委員長、加藤泰彦委員長)を開催し、資源エネルギー庁の多田明弘次長から、エネルギー情勢をめぐる最近の動向について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

(1)エネルギー基本計画とエネルギーミックス

2014年に閣議決定された第4次エネルギー基本計画では、原発依存度の低減と再生可能エネルギーの導入拡大が盛り込まれた。その翌年に策定されたエネルギーミックスでは、安全性の確保を大前提に、安定供給の確保、電力コストの引き下げ、二酸化炭素排出の抑制の3つを同時に達成する観点から検討を行った結果、再エネ22~24%、原子力20~22%等となった。

(2)原子力発電所再稼働の状況

現時点までに26基が新規制基準への適合性審査を申請し、3基が稼働している。高浜3、4号機に関しては昨年末、大阪高裁での抗告審の審理が終結した。

(3)東電・福島復興、電力システム改革の貫徹

福島第一原子力発電所事故関連で確保すべき資金は、これまでの11兆円から21.5兆円に拡大した。東京電力は、改革を通じて必要な資金を捻出するとともに、企業価値の向上等を通じて株式売却益の増大を図る必要がある。
電力システム改革の貫徹に向けては昨年末、ベースロード電源市場の創設を含む「更なる競争活性化」に向けた施策と、非化石価値取引市場の創設や賠償への備えの回収等からなる「自由化の下での公益的課題への対応」を提示した。

(4)高速炉開発・最終処分

わが国はエネルギー基本計画に基づき、核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組んでいく方針である。昨年12月の原子力関係閣僚会議では、高速炉開発を取り巻く昨今の環境変化を踏まえて、「高速炉開発の方針」を決定し、あわせて「もんじゅ」は廃炉とすることとした。
放射性廃棄物の最終処分候補地が決まらないことから2015年、国が前面に立って取り組みを進めるプロセスを追加した。自治体との対話を重ねながら、最終処分に向けた一歩を踏み出したい。
福島事故後、原子力発電所の廃止を決めた国がある一方、建設を進めている国もある。わが国としては、安全運転のためにも、技術や人材を維持することが重要であると考える。

(5)資源戦略

石油権益の資産価格低下や産油国国営企業の株式開放が顕在化しており、わが国がエネルギー安全保障を強化する絶好の好機ととらえている。諸外国との競争に負けないよう、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が上流開発企業とともに海外の資源会社に出資したり、海外の国営石油企業に単独で出資したりできるようにするための法改正を行った。

(6)再エネ・省エネ

今年4月から改正FIT法(再生可能エネルギー特別措置法)が施行され、未稼働案件の排除、大規模太陽光発電の入札制度、電源ごとの価格目標設定等が始まり、コストの低下が期待されている。
エネルギーミックスを達成するためには、オイルショック後並みのエネルギー消費効率改善が求められる。事業者による自主的な省エネ投資、中小企業や家庭等による民間の省エネビジネスを活用した省エネへの取り組みが重要である。

【環境エネルギー本部】

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