米国などではトップレベルの研究大学からスタートアップが多数輩出され、ユニコーンの半数以上をディープテック系企業が占めている。しかし、日本においては大学研究と社会実装の間にはいまだミッシングリンクがある。
スタートアップを通じた優れた研究の社会実装、すなわち「Science to Startup」こそが、日本のユニコーン増加、そして10X10X実現の鍵である。そこで、日本におけるScience to Startupの実現に向けて、解決すべき課題や取り組みの方向性について議論する。
南場 智子
なんば ともこ
経団連副会長・スタートアップ委員長
ディー・エヌ・エー会長
1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、1996年、マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年にディー・エヌ・エーを設立し、現在は会長を務める。2015年から横浜DeNAベイスターズオーナー。著書に『不格好経営』(日本経済新聞出版)
冨永 悌二
とみなが ていじ
東北大学総長
1982年東北大学医学部卒業。2003年東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野教授、2019年、東北大学病院長に就任。2023年東北大学理事・副学長を経て、2024年4月から第23代東北大学総長に就任。専門は脳神経外科学。医学博士。2013年度「情報通信月間」総務大臣表彰。2014年度 文部科学大臣表彰「科学技術賞 研究部門」受賞
稲葉 太郎
いなば たろう
Remiges Venturesマネージング・パートナー
1991年三井物産に入社。2008年Mitsui & Co. Venture PartnersのPresident&CEOに就任。2014年、日米に拠点を有するクロスボーダー型創薬専門ベンチャーキャピタルであるRemiges Venturesを創業。Remiges Venturesが運営するRDiscovery代表取締役も兼任
松尾 一輝
まつお かずき
EX-Fusion社長
2020年大阪大学大学院理学研究科修了、物理学博士号取得。在学中に同大レーザー科学研究所の藤岡慎介教授の指導のもと、高速点火方式の核融合プラズマ加熱の研究に取り組み、レーザー核融合の実現に貢献した。カリフォルニア大学サンディエゴ校での勤務を経て、帰国後の2021年にEX-Fusionを設立
岩村 有広
いわむら ありひろ
司会:経団連常務理事
- ■ スタートアップエコシステムの成長・変化への評価と今後の課題
- エコシステム活性化の鍵はディープテック
- 大学が自己資金を得る手段としてのスタートアップ
- 大学発のシーズ技術を基にVC主導で起業
- ディープテックスタートアップの立ち上げ
─ レーザー核融合の社会実装を目指して - ■ Science to Startupの実現に向けて着手すべき課題
- イグニッションチームで能動的にシーズ発掘
- スタートアップが身近な文化を日本の大学にも
- 大学病院をイノベーションのプラットフォームに
- シンプルな意思決定が成長のドライバー
- ■ 世界で活躍するスタートアップを増やすための施策
- ディープテック企業だからこそグローバル市場に展開しやすい
- 海外経験によって起業のハードルを下げる
- 大学と産業界との間の人材流動化
- 業績に応じたインセンティブを研究者へ
- ■ 10X10Xの世界の実現に向けて
- マイルストーンに応じた段階的な支援
- カスタマーディスカバリーの導入
- 世界基準の知財戦略
- 大企業が取るべきアクション
- 研究者は意外と起業家に向いている