令和6年11月29日 健康保険組合連合会 全国健康保険協会 日本経済団体連合会 日本商工会議所 日本労働組合総連合会 |
医師偏在是正に向けた被用者保険関係5団体の意見
現役世代の保険料負担が限界に達するなか、2040年に向けて、生産年齢人口の急激な減少と更なる高齢化が同時に進行する。将来にわたり国民皆保険制度を堅持し、必要な時に必要な医療が受けられるフリーアクセスを患者に保障するためには、地域間、診療科間、病診間等における医師の偏在を是正し、過不足のない医療提供体制が求められる。現在、政府において検討されている医師偏在是正対策は、医療の中核である医師の配置転換を通じて医療全体の最適化につながるものであり、医療提供体制の極めて重要な課題である。
以上の認識から、我々は下記の意見を取りまとめた。厚生労働省においては、保険財政と医療資源に限りがあることを十分に踏まえ、総合的な対策パッケージを策定されるよう強く要望する。
基本的考え方
医師偏在の問題は、様々な偏在に対し、それぞれ真に実効性のある対策を講じることが必須である。その際、医師多数対策と医師少数対策の一体的な実施が重要である。
都道府県と大学病院との連携協定による医師派遣調整機能や、国による全国的なマッチング等の強化を図りつつ、規制的手法を中心に、より強力な対応を進めるべきである。
規制的手法
医師多数の区域及び診療科に対しては、強力な規制的手法により新規参入抑制と新陳代謝の活性化を図るべきである。特に保険診療については抜本的に規制を強化すべきである。
医師少数区域において継続的に一定の医師数を確保するため、可能な限り幅広い医療機関の管理者要件に医師少数区域での勤務経験を規定すべきである。
経済的手法
地域に必要な医療提供体制は都道府県が主体となって整備し、国は都道府県の取組みを支援する責任を果たすべきである。医師少数の区域や診療科における医師確保や、病診間における医師偏在の是正に向け、まずは国と都道府県が拠出する基金等の更なる活用による経済的インセンティブを検討すべきである。
経済的インセンティブの財源として、保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは、著しく妥当性を欠く。診療報酬による対応を検討する場合でも、補助金や税制との役割分担を明確にしたうえで、医療の適正化も念頭に、最低限、財政中立を前提としてメリハリを付けるべきである。