一般社団法人 日本経済団体連合会
Ⅰ.はじめに
わが国経済は、緩やかに持ち直している。先行きについても、賃金引上げ、消費・インバウンド需要の拡大、国内投資の拡大等により、引き続き景気の持ち直しが期待される。他方で、物価や為替・金融市場の動向に加え、中東・ウクライナ情勢、欧米における高い金利水準の影響、中国経済の不確実性など海外経済の下振れリスクに注視が必要である。
過去最高水準の設備投資、30年ぶりの高水準の賃金引上げの継続など、わが国経済は歴史的な転換点を迎えている。今こそ、デフレから完全に脱却し、「成長と分配の好循環」を実現していくことが重要である。
政府の「経済財政運営と改革の基本方針2024」(「骨太方針2024」、令和6年6月21日閣議決定)においても、デフレから完全に脱却し、日本経済を成長型の新たなステージに移行させることが最重要課題として示された。さらに、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」(同日閣議決定)では、一層の取組みが必要な施策として、価格転嫁の推進、労働市場改革、産業の革新(スタートアップの成長、既存企業のイノベーション等)、DX・GX等への投資の推進などが掲げられた。
経済界としては、不確実性の高いグローバルな経営環境下にありつつも、国内投資拡大による産業基盤の強化、イノベーションの創出等を図り、わが国産業の国際競争力を強化し、持続的な経済成長につなげていく。さらに、その成長の果実を適正に分配することで、「サステイナブルな資本主義」の実現を支え、経済社会の担い手となる「分厚い中間層」の形成に貢献していく。
中長期的には、高齢者数がピークを迎える2040年頃の経済社会の姿として「科学技術立国」「貿易・投資立国」を目指しながら、少子高齢化・人口減少等や資源不足といったわが国の制約条件を克服すべく、全世代型社会保障の構築、GXの推進など、様々な課題に取り組んでいく必要がある。
これらを背景として、令和7年度税制改正においては、企業の持続的な成長を支える基盤として、税制面で求められる対応を着実に実施するとともに、分厚い中間層の形成の一環として、次期年金制度改正に合わせ、働き方やライフスタイルの多様化に即した年金税制の構築が求められる。
あわせて、中長期的な視点から、わが国の制約条件の克服に向け、全世代型社会保障の構築に向けた税・社会保障の一体改革、GXの推進に向けた税制などについても検討を進めるべきである。
国際課税においては、経済のデジタル化に伴う課税上の課題への解決策「第1の柱」、「第2の柱」に係る制度設計にあたり、簡素化や実務負担の軽減、予見可能性の確保が不可欠である。さらに、わが国の外国子会社合算税制(CFC税制)についても、引き続き事務負担の軽減を図っていくことが重要である。
Ⅱ.企業の持続的な成長を支える税制
1.法人課税のあり方
(1)「成長志向の法人税改革」の振り返り
① 「成長志向の法人税改革」の概要
平成27年度、28年度税制改正において、デフレ脱却・経済再生をより確実なものにし、経済の好循環の実現・確立を目指すため、「成長志向の法人税改革」が実施された。
法人税率と法人事業税所得割の税率は段階的に引き下げられ、国・地方の法人実効税率は30%を若干下回る水準となった(東京都のような超過税率適用下では30%を依然上回っている)。一方で、欠損金繰越控除の制限、受取配当等益金不算入の縮減、法人事業税における外形標準課税の拡大、租税特別措置の見直しなどを通じて、課税ベースの拡大による財源確保が行われた。
このように法人税改革は、課税ベースの拡大を伴いながら、ほぼ税収中立で実施されたため、企業全体で見ると、実質的な税負担率(利益計上法人の税引前当期純利益に占める税負担の割合)は概ね横ばいで推移しており、法人税、法人事業税、法人住民税(法人均等割・法人税割)、地方法人税の合計額で算定される税負担が大きく軽減されたとは言えない状況にあると考えられる。
こうしたことを背景に、この間の企業収益の増加#1にも支えられる形で、税率が引き下げられた中にあっても、法人税、法人事業税の税収は増加傾向で推移している。その結果、法人税率1%当たりの法人税収は増加しており、法人税の税収力が向上していることが示唆される。また、企業活動が活性化して収益が伸びることは、働き手への分配の増加を通じて、法人税のみならず、所得税や消費税など税収全体の増加につながる。
② 企業における取組み
「成長志向の法人税改革」実施後の平成27年度以降の企業活動の動向を見ると、国内投資の拡大、賃金引上げへの取組みが着実に進展し、設備投資や賃金は増加傾向で推移している。特に足もとでは、設備投資は過去最高の水準にあり、賃金引上げ率は令和5年、令和6年と2年続けて、30年ぶりの高い水準での引上げが実現している。
図表5:賃金の推移
こうした状況を踏まえると、成長志向の法人税改革は、ほぼ税収中立で実施されたたものの、法人税率の引下げが企業活動の活性化を後押しした可能性は否定できないと考えられる。また、改革の効果が明確に現れるまでには長い時間を要することが想定されるため、法人税改革の効果については、足もとの国内投資拡大、賃金引上げの動きなどを見極めた上で評価を行うべきである。
(2)国内投資拡大・研究開発推進や賃金引上げを後押しする法人課税のあり方
足もとの前向きな動きを成長と分配の好循環の実現につなげていくには、企業が継続して、国内投資の拡大や研究開発の推進、賃金引上げに取り組んでいくことが必要不可欠である。今後の法人課税のあり方については、こうした企業の取組みを後押しする観点から検討すべきである。
税率については、わが国企業の国際競争力に影響を与えるものであるため、国際的なイコールフッティングの観点から考えるべきである。わが国の法人実効税率が主要国の中で依然として高い水準にあることや、防衛力強化に係る税制措置が予定されていることに留意が必要である。
課税ベースについては、前述の通り、「成長志向の法人税改革」の中で、その拡大が行われてきたことに留意すべきである。
租税特別措置については、投資等へのインセンティブ付与の手段として、今後も活用していく必要がある。また、国際的なイコールフッティングの観点からは、諸外国において、税額控除額の繰越や還付等を可能とする柔軟な措置が導入されていることにも留意が必要である。EBPMの観点から租税特別措置の効果検証は必要である一方、投資に係る意思決定から実行に至るまでの期間など、企業における投資の実態やタイムラグも踏まえた上で、検証を行うべきである。
(3)防衛力強化に係る財源確保のための税制措置に対する考え方
令和5年度税制改正大綱において枠組みが決定された防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、令和6年度税制改正では開始時期等の決定は見送られ、税制改正法附則において「令和5年度税制改正の大綱及び(中略)令和6年度税制改正の大綱に基づき、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置を実施するため、令和9年度に至る各年度の防衛力強化に係る財源確保の必要性を勘案しつつ、所得税、法人税及びたばこ税について所要の検討を加え、その結果に基づいて適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる」とされている。今後、税制措置の開始時期や法人付加税率の水準などについて、具体的な検討が行われる見込みである。
検討にあたっては、増税に対する国民理解の確保が不可欠であり、付加税による法人実効税率への影響、企業による国内投資や賃金引上げの状況を十分に踏まえるべきである。加えて、税収の動向#2や、防衛予算の執行状況等も勘案すべきである。また、税制措置は所得税、法人税及びたばこ税の3つを同時に実施することが基本である。
2.法人税制等の諸課題
(1)企業価値向上に向けた組織再編による事業ポートフォリオの見直し
企業を取り巻く事業環境が急速に変化する中、企業の競争力を維持・強化して価値向上を図るためには、組織の体制を柔軟に見直すことが重要である。税制面では、平成13年度税制改正で整備された組織再編税制の枠組みの下で、組織再編手法の多様化・複雑化に伴い、累次の見直しが行われており、最近では令和5年度税制改正で、期限の定めがある租税特別措置として、一定の持分を残したスピンオフ(パーシャルスピンオフ)について、課税の繰り延べが認められることとなった。事業ポートフォリオの見直しにおいて、パーシャルスピンオフは有効な手段の一つである。今後、パーシャルスピンオフが対象事業を特定することなく、予見可能性のある安定的な制度となるよう、諸外国の制度を参考にしつつ、法人税法本則における検討を進めるとともに、現行税制では税制適格性が得られない他の組織再編手法についても、あわせて検討すべきである。その際、米国特別買収目的会社(SPAC)を活用した逆三角合併を含め、株式を用いて、手元資金や借入可能額に制約されずに、大胆かつ機動的な組織再編を可能とする税制措置についても検討を行うべきである。
なお、グループ通算制度採用会社がスピンオフを行う際に生じる実務上の問題については、早急に手立てを講じなければならない。現行の規定では、グループ通算制度を採用している場合、スピンオフによりグループから離脱する企業の株式について投資簿価修正を行う必要がある。具体的には、スピンオフの直前に投資簿価修正を行い、その結果を反映して分配資産割合を計算することが求められているが、投資簿価修正にはスピンオフ実行日から一定の期間を要する。そのため、スピンオフの効力発生日までに、株式の取得価額の計算に必要となる分配資産割合を算定することは不可能であり、株主の申告実務等に多大な影響を与えるおそれがあることから、ただちに所要の措置を講じるべきである。
(2)インセンティブ報酬の活用拡大
近年では、株主と対象者の利害を一致させ、中長期的な企業価値向上に寄与する業務執行を促すために、上場企業を中心として、経営陣や従業員に対して、企業の業績等を反映したインセンティブ報酬を付与する企業が増えている。ソフトロー#3である東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」では、経営陣の報酬に関して、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映したインセンティブ付けを行うことが求められている#4。インセンティブ報酬の付与は、国際的な激しい競争の中で国内外の優秀な人材の獲得・維持、エンゲージメントの向上、「人への投資」等を加速させるためにも重要な取組みとなる。
そのため、「役員・従業員へのインセンティブ報酬制度の活用拡大に向けた提言」(2024年1月16日)#5で要望している通り、インセンティブ報酬制度の更なる普及に向けて、グローバル企業が活用しているインセンティブ報酬制度を分析しつつ、継続的に調査・検討を行うことが求められる。当面の課題としては、損金算入が認められる「業績連動給与」の対象の拡大を行うべきである。
サステナビリティが重要な経営課題であるという認識の下、非財務指標に連動するインセンティブ報酬の普及が進んでいる。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、2024年度中を目標公表時期として、我が国におけるサステナビリティ開示基準の開発を進めている。公開草案においては気候関連の評価項目が役員報酬に組み込まれているかどうか、組み込む方法等の開示が要求されている。サステナビリティ開示基準が公表されれば、企業が開示するサステナビリティ関連の非財務指標について、その客観性や透明性が高まると予想される。また、金融審議会サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループでは、SSBJ基準に基づく有価証券報告書における開示を早ければ2027年3月期から順次拡大していく方向で検討を進めている。これらの状況を踏まえて、一定の非財務指標を業績連動給与の算定基礎として認めるよう、所要の措置を講じるべきである。
また、キャッシュ・フロー(営業キャッシュ・フロー等)をはじめとして、企業の経営において重要とされる財務指標についても、業績連動給与の算定基礎に含めるように見直すべきである。
(3)リース会計基準改正への対応
企業会計基準委員会は、令和6年9月に、原則としてすべてのリースを資産・負債に計上する「リースに関する会計基準」(以下、新リース会計基準)を公表した。新リース会計基準は令和9年度から適用されるが、令和7年度からの早期適用も可能である。
新リース会計基準の適用にあたっては、企業の実務上、税務と会計の取扱いに差異が生じることがないよう、法人税、消費税、法人事業税付加価値割(外形標準課税)等において、必要な対応を行った上で、その取扱いを明確にすべきである。
また、貸手側について、リース会計基準の改正に伴い、リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度(法人税)及びリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(消費税)が廃止された場合、借手において、新たな資金負担が生じることも危惧されるため、これらを廃止せずに存置すべきである。
なお、新リース会計基準の適用対象でない中小企業については、今回の基準改正の影響が及ばないよう配慮することも必要である。
(4)DX・イノベーションのさらなる推進
イノベーションを通じた社会的課題の解決、新たな価値創造に向けては、DXのさらなる推進が不可欠である。経済成長の制約要因となる人手不足への対応として、DXを通じた省力化・省人化・自動化技術の開発が今後、一層重要となる。量子・AIはDXの基盤技術であり、実装段階まで視野に入れた官民戦略が必要である。
こうした観点から、今年度末で期限切れを迎えるDX投資促進税制及び5G導入促進税制のあり方については、新たなイノベーションの動向も踏まえ、検討すべきである。
令和6年度税制改正で創設されたイノベーションボックス税制については、令和7年4月1日の施行に向け、現在、ガイドラインの策定に関する議論が行われている。まずは、令和6年度改正で決定された措置内容を着実に執行すべきである。中期的には、制度の運用状況を踏まえ、事務負担の簡素化を図りつつ、対象となる知的財産(ソフトウェアの取扱いの見直しを含む)、所得の拡充についても検討すべきである。イノベーションボックス税制を整備することで、研究開発の成果として生まれた無形資産の社会実装・収益化を促進し、得られた収益を価値ある無形資産の創造のための研究開発へ再投資するという「イノベーション循環」を確実に達成していくことが重要である。
さらに、研究開発の不確実性のリスクを軽減し、企業におけるイノベーション創出を促進していくには、研究開発税制による支援が不可欠である。当税制はイノベーションボックス税制と両輪であり、今後も縮小することなく堅持し、さらなる拡充や、オープンイノベーション型に関する要件の見直しも含めた使い勝手の向上を検討すべきである。
(5)期限切れ租税特別措置の延長等
① 火災保険等に係る異常危険準備金制度の充実
自然災害が激甚化・頻発化する中において、火災保険事業の安定的な運営を支える火災保険等に係る異常危険準備金制度について、より制度の効果を高める観点から、火災等の積立率を引き上げるとともに、貨物等の現行の積立率を維持するべきである。また、残高管理等の基礎となる適用区分を一本化し、取崩基準損害率を引き上げるべきである。さらに、洗替保証率を引き上げるべきである。
② 減耗控除制度の延長・拡充
世界的な地政学リスクの拡大や資源ナショナリズムの高まり等により、資源・エネルギーの供給懸念、経済安全保障への対応が必要不可欠となっている。こうした中、天然資源の乏しいわが国にとっては、国内外での資源の安定的な供給先の確保は極めて重要である。探鉱開発を促進し、資源・エネルギーの安定供給を図る観点から、減耗控除制度について、延長するとともに、「国内鉱業者に準ずるもの」の判定要件の緩和により拡充すべきである。
③ 地方創生に向けた税制措置
地域の特性を生かした高い付加価値の創出を促すため、地域未来投資促進税制について、延長するとともに、地域への波及効果が特に期待できる産業分野への重点的な支援に向け、要件を拡充すべきである。
また、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、延長するとともに、本社所在地の自治体への寄付も対象とすることも検討すべきである。
④ 中小企業税制の延長・拡充等
わが国企業のサプライチェーンの充実・強化に向け、中小企業の成長を後押しする観点から、中小企業経営強化税制を延長・拡充するとともに、中小企業投資促進税制を延長すべきである。また、中小企業者等の法人税率の軽減措置を延長すべきである。さらに、円滑な事業承継を支援する観点から、事業承継税制について、役員就任要件の見直しを行うべきである。
⑤ 有利発行課税の見直し
わが国の企業が海外出資会社の新株を引き受ける際に、現地の会社法等を踏まえ、通常要する価額より有利な金額で株式を取得した場合には、有利発行による受贈益課税の対象となりうる。課税対象の除外規定は極めて限定的であり、他の株主に事実上、損害が生じない場合も、多額の税負担が生じる。機動的な組織再編や課税の予見可能性、国際競争力強化の観点から、有利発行課税により企業の投資活動が抑制されることのないよう、所要の見直しを行うべきである。
⑥ 投資法人に係る税制措置の整備
投資法人が税会不一致による二重課税の解消手段を行使する際の任意積立金の取扱いについて、所要の措置を講じるべきである。
⑦ 2027年国際園芸博覧会の円滑な開催に向けた税制上の所要の措置
2027年国際園芸博覧会の円滑な開催に向け、博覧会の参加者等に対し、過去に開催された国際博覧会等を参考に、税制上の所要の措置を講じるべきである。
3.スタートアップの振興
経済成長の担い手となる企業の裾野を広げ、さらなるイノベーションを創出していくには、革新的な技術やアイデアを有するスタートアップを育成していくことが重要である。経団連提言「スタートアップ躍進ビジョン ~10X10Xを目指して~」#6も踏まえて政府の「スタートアップ育成5か年計画」(令和4年11月)で掲げられた、スタートアップへの投資額を「2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)」とする目標の実現に向けては、税制面での支援が引き続き求められる。
特に、スタートアップへの資金供給を促す観点から、エンジェル税制のさらなる拡充を行うべきである。具体的には、スタートアップへの再投資に係る非課税措置について、再投資期間(現行は同一年内)を複数年に延長すべきである。
4.住宅・都市・土地税制
(1)住宅関連税制
住宅価格や物価が上昇する中で、子育て世帯等の住宅取得を支援する観点から、新築住宅に係る住宅ローン減税について、子育て世帯や若年夫婦世帯に対する借入限度額に係る措置及び床面積要件の緩和措置を令和7年も延長するとともに、経済情勢や住宅市場の動向等にも留意し、必要に応じ機動的な対応を講ずるべきである。
あわせて、子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制についても、延長すべきである。
このほか、豊かな住生活を実現するためにも、次の特例措置について、延長すべきである。
- 住宅の買取再販に係る不動産取得税の特例
- サービス付き高齢者向け住宅に関する特例
- 防災街区整備事業における固定資産税の特例
- 長寿命化に資する一定の大規模修繕工事に対する固定資産税の特例
(2)都市関連税制
都市の防災性能向上や、まちづくりにおけるGX推進等の観点から、次の特例措置について、延長すべきである。
- 市街地再開発事業の権利床に係る固定資産税の特例
- 災害ハザードエリアからの移転促進に向けた不動産取得税の特例
- 市民緑地認定制度に係る固定資産税等の特例
(3)土地関連税制
国内投資の拡大に向け、産業用地の確保を進める観点から、地方自治体と民間企業が連携して産業用地を整備する事業のために土地を譲渡した場合について、税制上の措置を創設すべきである。
また、Jリート等の登録免許税及び不動産取得税の特例について、延長・拡充すべきである。さらに、所有者不明土地法に基づく地域福利増進事業に係る特例を延長すべきである。
5.地方税
(1)電気供給業・ガス供給業における法人事業税の課税標準の見直し
当該両業種における法人事業税の課税標準について、地域独占と総括原価主義を根拠として収入割が適用されてきたが、平成28年度(電気)、平成29年度(ガス)の小売全面自由化によって地域独占・総括原価主義は撤廃された。これに伴い、一般の事業とは異なる収入割を適用する根拠は消失した。
こうした中、電気供給業については、令和2年度税制改正において、発電・小売事業の2割程度に外形標準課税(資本金1億円以下は所得課税)の組み入れが行われた。また、ガス供給業については、令和4年度税制改正において、大手3社等のガス製造・小売事業(特定ガス供給業)の4割程度に外形標準課税の組み入れが行われ、他の事業者のガス製造・小売事業は一般の事業と同様の課税方式へ見直された。しかしながら、電気供給業・ガス供給業ともに、法人事業税収入割の見直しは道半ばという状況である。
これらの点を踏まえ、「令和6年度与党税制改正大綱」(令和5年12月14日)に則り引き続き検討を進め、両業種における法人事業税の課税方式を早期に一般の事業と同様のものに統一すべきである。
(2)地方法人所得課税のあり方の見直し
地方法人所得課税は、地域間の偏在性が大きく、税収も不安定であるという課題を抱えている。また、法人所得に課税する税目が複数存在するために、納税者の申告作業はいっそう複雑化している。このため、将来的には地方の法人所得に対する課税部分、とりわけ地方法人税及び特別法人事業税を国税の法人税に統合し、地方交付税により各自治体に配分する仕組みへと一本化を進めるべきである。
(3)事業所税の整理・統合・簡素化
事業所税の従業者割は、法人事業税付加価値割や法人住民税均等割と同様に、賃金・雇用に対する課税である。企業は高い熱量を持って賃上げに努めている中で、賃上げへの足かせとなっている。また、資産割は、固定資産税及び都市計画税と同じく、所有する土地・家屋に対する課税となっている。加えて、「みなし共同事業」の免税点判定に要する実務負荷は大きい。
これらの点を踏まえ、事業所税は、他の税目と整理・統合・簡素化を行うべきである。
6.納税環境整備・その他
政府では、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和6年6月21日閣議決定)において、デジタル社会の実現に向けて、迅速かつ重点的に実施すべき施策をとりまとめた。当該計画では、「国税関係手続のデジタル化の推進」や「国税地方税連携の推進」が、重点的な取組みの一つとして位置づけられた。政府における税務手続きのデジタル化に向けた取組みが着実に進められていることを歓迎する。
税務手続きのデジタル化が進展することで、企業の生産性向上が期待できるだけではなく、テレワーク等の柔軟な働き方がさらに広がることが見込まれる。官民一体となって税務手続きのデジタル化を一層進めるにあたり、政府には必要な予算を確保するとともに次の課題へ優先的に取り組むことを要望する。
なお、税務手続きのデジタル化にあたっては、現行の手続きを単に電子化するのではなく、真に必要なものに絞り込む等、手続き自体の合理化、簡素化を進めることも不可欠である。
(1)国税に関するデジタル化
① e-Tax の利便性向上
大法人では法人税や消費税について令和2年度から電子申告が義務化される等、制度の整備がなされる一方で、実際に利用する e-Taxのシステムには更なる改善の余地がある。デジタル化を推進するためにも、企業の申告・納税に関する業務が、e-Taxによって一元的に実行・管理できるシステムを構築すべきである。当面の課題としては、複数IDの利用、データ送信時の容量の拡充、データ形式の柔軟化、処分通知のデジタル化等、e-Taxの機能・操作性の向上や改善・拡充を行うことを要望する。最終的には、手続状況の可視化等を含めた、全ての実務が電子的に完結する体制の整備を目指すべきである。
また、中小企業を含む納税者、税務当局、金融機関等が負っている、現金納付に伴う社会的なコストを削減するためにも、今後の電子申告および電子納税の利用率を向上させる取組みを期待する。
- <複数IDの利用>
e-TaxのIDは、原則1法人につき1つしか割り当てられていない。企業においては、データ送信時にID(及びそのパスワード)の管理部署の担当者とのやり取りが必要になるなど、実務的な負担が生じている。また、異なる税目を担当する複数の部署間で同じIDを利用することになり、内部統制上の問題が生じている。
令和6年度税制改正では、GビズIDとの連携によるe-Taxの利便性の向上を図る措置が講じられた。GビズIDは、代表者のアカウントであるGビズIDプライムから、利用するサービスを指定する形でGビズIDメンバーのアカウントを作成できることから、これらを参考に、上記の負担や問題が軽減するようe-Taxにおいても着実にシステム改修が行われることを期待する。
- <データ送信時の容量の拡充>
電子申告において納税者側から多くの添付資料を送付する際には、e-Tax上で送信可能な容量に制約があるため、電子的な送信ではなく光ディスク等での提出を行うことになる。光ディスク等での提出は、従来通り書面で提出を行う場合と大差のない手間が生じる。e-Tax上で送信可能な容量を拡充すること等により、オンライン上でデータ送信が完結する体制の整備が必要である。データを受領する税務当局でも、データの取扱いが煩雑になっていると推察されることから、データ容量の上限の拡大は、納税者・税務当局双方の事務負担軽減に資すると考える。
- <データ形式の柔軟化>
データのアップロード・ダウンロードに際して対応可能なデータ形式を拡充することは、企業の事務を円滑化するのみならず、税務手続きにおけるデータの入力・転記ミスを防止することに資すると考える。令和6年3月には、ダイレクト納付(グループ通算用)のCSVアップロード機能が実装されるなど、データ形式の柔軟化に向けた取組みが進められている。今後、より多くの機能において、CSV形式に対応することを念頭に置き、データ形式の柔軟化を進めるべきである。
- <処分通知のデジタル化>
令和6年度税制改正により、法令上は、全ての国税関係の処分通知について、e-Tax上で受領することが可能となった。今後、次の通知・納付書等をはじめとする幅広い処分通知について、実際に電子交付の対象となるようにすべきである。
- 法人税・消費税の更正通知書(当局が更正を行う場合)
- 更正決定等をすべきと認められない場合の通知(是認通知)
② 税務調査、およびその他国税当局とのやり取りのデジタル化
国税庁では、令和5年7月より、税務調査等において、オンラインでの面談やオンラインストレージサービスを利用したデータの受け渡しが、試行的に実施されている。このような取組みは企業における税務調査への対応負荷を軽減するものである。税務調査、およびその他国税当局との日常的なやり取りのデジタル化にあたっては、事業者にとって使いやすい仕組みとなるように引き続き見直しを検討するとともに、より多くの事業者がこの取組みを活用することができるように周知を図るべきである。
③ 事業者のデジタル化に向けた取組み
政府においては、事業者の取引全体のデジタル化、会計・経理全体のデジタル化のために、各種の取組みが検討されている。事業者が取引先等と相互に行うやり取りが可能な限りデジタルデータにより行われ、人の手を介さないで自動処理される環境が実現することは、納税者・税務当局双方において事務負担を軽減すると考える。一方で、取引の種類や相手方によっては、即座にデジタルデータ化を進めることが難しいことも踏まえつつ、目指すべき方向性とその道筋をあらかじめ示すことが重要である。
あわせて、社会全体のデジタル化や企業における実務の状況を把握するように努め、電子帳簿保存法やインボイス制度についても不断に見直しを行うべきである。
(2)地方税に関するデジタル化
① 地方税関係通知のデジタル化
「令和5年度地方税における電子化の推進に関する検討会 とりまとめ」(令和5年11月20日)において、納税通知書等のデジタル化に向けた方向性が示されたことを歓迎する。具体的な制度設計については、事業者における事務フローを踏まえた、納税者にとって使い勝手の良い仕組みとなることを期待する。固定資産税等一部の税目については、課税対象をCSV形式でダウンロード可能とするような体制が検討されていると理解しており、事業者にとっての管理がより容易になるよう、着実に実行すべきである。なお、自治体ごとに新旧の仕組みが混在すると、かえって納税者の事務負担が増加するおそれもあることから、すべての自治体において迅速にデジタル化を実行するべきである。
また、納税証明書をはじめとして、納税通知書以外の地方税関係通知等のデジタル化も進めるべきである。
② 申告・申請手続のデジタル化
「行政手続等の棚卸結果等(令和2年度調査)」を踏まえ、地方税の申告・申請手続のうち電子化が未対応のものについて、優先順位をつけながら今後デジタル化を実現していくと理解しており、決定したものから随時実装されていくことを期待する。例えば、納税証明書の交付申請は、一部の自治体では既に電子化に対応しているが、全国一律でeLTAXで申請できることが望ましい。
③ 納付手続のデジタル化
令和5年4月から、地方税共通納税システムの対象が全税目に拡大されるとともに、固定資産税等一部の税目の納付において、地方税統一QRコードを用いた仕組みが導入された。また、地方自治法の改正(令和6年9月26日施行予定)により、地方税に該当しない公金(道路占用料、行政財産使用料等)についても、法令上、地方税統一QRコードを利用してeLTAXを通じた納付を行うことが可能となる。このように、eLTAXを活用した納付手続きのデジタル化が進展していることを歓迎するとともに、令和5年6月16日に閣議決定された「規制改革実施計画」に則り、公金納付のデジタル化が遅くとも令和8年9月までには確実に開始されることを期待する。
一方で、地方税統一QRコードを利用しつつ、eLTAXによる納付を行うことは、あくまで過渡的な措置と理解している。最終的な目標は、納付通知から納付までを含めた完全なデジタル化である。
④ 国税・地方税の情報連携
法人税等の申告書やその他申請書・届出書について、国税当局から地方自治体へ連携されることで、納税者と税務当局の双方における事務負担を軽減することができる。また、企業への各種照会についても、国税と地方税で重複しているものが存在することから、これらを統一し、回答が一回で済むよう国・地方間での情報連携ができるようにすべきである。
⑤ その他
eLTAXについても、基本的にはe-Tax(前述)と同様の機能改善を要望する。
(3)グループ通算制度
令和4年度から、官民の事務負担の軽減等の観点から連結納税制度を見直して、グループ通算制度が導入された。しかし、新制度導入に伴い、各法人が申告主体となったことから、通算グループ内での連携・調整等が必要になる局面において、支障が生じているとの指摘がある。企業の実務に照らして改善すべき点を精査しつつ、随時に見直しを図るようにすべきである。
(4)印紙税
印紙税は、課税文書の判定等の業務が煩雑であり、事務手続きの観点から、納税者にとって相当の負担が生じている。また、第2号文書や第17号文書に係る印紙税は、文書に記載された契約金額や受取金額に応じて税額が規定されることとなっており、現在では消費税と重複した課税となっている。
これらの点を踏まえ、全ての印紙税を廃止すべきである。
仮に廃止が難しい場合は、デジタル社会の実現や働き方改革の推進の観点から契約等の電子化を進めるべきである。例えば、未だ紙媒体の契約が主流である地方自治体発注工事について、電子契約を推進していくべきである。
(5)マイナンバー制度
口座管理法(令和6年4月1日施行)により、令和6年度末頃に、預貯金者の意思に基づき、一つの金融機関等を経由して、一度に複数の金融機関の口座にマイナンバーを付番することが可能となる予定である。こうした状況を踏まえ、制度の円滑な実施及び利便性向上等の観点から、金融機関が他の金融機関等を経由してマイナンバーを取得した場合についても、税法上の告知要件及び帳簿要件#7を満たすものとなるよう、所要の措置を講じるべきである。
Ⅲ.サステイナブルな経済社会の実現に向けた税制
1.分厚い中間層の形成に向けた税制
(1)働き方やライフスタイルの多様化に即した年金税制の構築
今後、働き方、ライフスタイルの多様化への対応や、公的年金制度の持続可能性向上に向けた給付の伸びの抑制が求められる中で、自助による老後の所得確保に向け取り組みやすくするため、次期年金制度改正に合わせ、私的年金に係る税制の見直しを行うべきである。
具体的には、「骨太方針2024」等で掲げられているiDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額の引上げだけでなく、企業型確定拠出年金も含めた拠出限度額の引上げを行うべきである。
拠出限度額については、若年時の使い残しを高年時に繰り越して拠出を増額できるような仕組み(キャッチアップ拠出)の導入や、マッチング拠出(企業型確定拠出年金において、事業主の拠出に加え、加入者本人も拠出を行うこと)における本人拠出額の上限の見直しも考えられる。
また、退職年金等の積立金に係る特別法人税は、令和7年度末まで課税凍結されているが、私的年金制度の普及促進、さらには政府方針でもある、老後の資産形成を推進する観点からも、速やかに廃止し、制度の予見可能性を確保すべきである。
なお、働き方や職業選択に対して中立的な所得税制を構築する観点から、退職所得控除については、制度変更による個々人のライフプランや従来からの雇用慣行への影響等に十分留意しながら、見直しを行うべきである。
(2)全世代型社会保障の構築に向けた税・社会保障の一体改革
社会保障制度(医療、介護、年金、少子化対策)は、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネットであり、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を実現することは、「分厚い中間層」形成を目指す中で、「成長と分配の好循環」の基盤の一つとなる。今後、生産年齢人口の減少や、高齢化に伴う医療・介護ニーズの増加が見込まれる中、全世代型社会保障の実現が重要な課題となっている。
社会保障制度の持続可能性の確保に向けては、給付の伸びを適切に抑制するとともに、安定的な財源の確保を進めるなど、税・社会保障一体で改革を推進していく必要がある。
社会保障の財源については、現状、社会保険料への依存が大きく、現役世代に負担が偏る構造となっている。国民負担率においても、社会保障負担率が増加している。国際的に見ても、わが国の国民負担に占める社会保障負担の割合は、主要国の中ではドイツに次いで高い水準にある。社会保険料負担の増加は、現役世代の可処分所得を下押しし、賃金引上げの効果を減衰させるとともに、消費を抑制し、成長と分配の好循環を阻害する恐れがある。
今後の改革の方向性としては、公正・公平の観点から、年齢にかかわらず、負担能力に応じた負担(応能負担)を徹底すべきである。賃金等のフローの所得に限らず、金融資産等も負担能力として勘案しながら、税も含めた様々な財源の組み合わせによるバランスの取れた負担のあり方を検討していくべきである。そうした観点から、銀行口座へのマイナンバー付番の義務化についても、あわせて検討を開始すべきである。
消費税については、広く全世代の国民全体が負担すること、財源として安定的であることなどから、社会保障財源としての重要性が高く、中長期的な視点からは、その引上げは有力な選択肢の1つである。ただし、応能負担の観点から逆進性対策(低所得層への給付等)をあわせて行うことや、景気への影響に留意することが必要である。引上げの実施時期と上げ幅については、デフレからの完全な脱却を見据えながら、経済情勢を踏まえて検討する必要がある。
(3)金融・証券・保険税制
令和6年度与党税制改正大綱において、生命保険料控除については、令和7年度税制改正で、子育て世帯について拡充する方向性で検討し、結論を得るとされた。子育て世帯におけるリスクへの備えを支援する観点から、子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充は着実に実現すべきである。
また、若年層の結婚・出産・子育てを支援する観点から、今年度末で期限切れを迎える結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、延長すべきである。
上場株式(ETF及びREITを含む)並びに公募株式投資信託について、価格変動リスク等を考慮すると、他の相続財産と比較して、相続税の負担感が相対的に高いため、相続税評価額を見直すとともに、投資者が上場株式等を安心して保有し続けられる環境を整備するため、物納の要件等を緩和するべきである。
金融所得課税については、高齢化社会における金融資産の効率的な運用、金融資本市場の活性化、企業の円滑な資金調達等の観点から、実務面の課題に十分配慮しつつ、今後も更なる一体化を検討すべきである。その一環として、デリバティブ取引と上場株式等との損益通算化を実現すべきである。また、上場株式等の譲渡損失の繰越控除期間を現行の3年間から延長することも検討すべきである。
さらに、NISAについては、利便性のさらなる向上の観点から、累積投資勘定または特定累積投資勘定の設定後10年を経過した日(10年後以降は5年を経過した毎の日)における顧客の所在地確認を廃止または簡素化すべきである。
2.GX推進に向けた税制
(1)エネルギー関係諸税の総合的な見直し
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民を挙げて、経済社会全体の変革であるGXを推進する必要がある。GX推進のため、今後、「成長志向型カーボンプライシング」の本格導入が進む見込みであり、令和8年度には排出量取引制度の本格稼働、令和10年度には化石燃料賦課金の導入が予定されている。
既存のエネルギー関係諸税全体については、「成長志向型カーボンプライシング」の制度設計等を踏まえつつ、総合的な見直しを進めるべきである。
例えば、地球温暖化対策税は、毎年度の税収実績及び使途の明確な開示などは行われていない。当該税については、EBPMの観点から排出削減効果も含めた丁寧かつ定量的な評価等を行った上で、廃止も含めてあらゆる選択肢を排除せずに、所要の見直しを行うべきである。
また、原料用途免税の本則非課税化、消費税と石油諸税の適切な調整措置(二重課税の解消)、揮発油税等に係る「当分の間税率」のあり方などについて、負担軽減の観点も踏まえつつ、引き続き検討すべきである。
(2)GXに積極的な企業への支援
企業が積極的にGXに取り組むよう、税制面において、インセンティブを与える措置が求められる。GX推進には、計画策定から実施まで長期にわたり、巨額の投資が必要なプロジェクトもある。
こうした観点から、GX推進に資する既存の税制の拡充が求められる。令和6年度税制改正で創設された戦略分野国内生産促進税制や、カーボンニュートラル投資促進税制について、GX投資を促進する効果を十二分に発揮できるよう中期的観点からの検討が必要である。
また、環境負荷の少ない製品については、税制面でできるだけ優遇を受けられるよう、所要の対応が必要である。例えば、ニートSAF(SAF#8の原料)及びわが国企業が参画する海外事業で生産したSAFの輸入に係る石油石炭税の減免や、低燃費航空機材の導入に対する税額控除などが考えられる。
償却資産に係る固定資産税については、本来的には廃止すべきであるが、少なくとも、GXに資する設備投資で取得した償却資産に係る固定資産税は減免すべきである。
3.自動車関係諸税
(1)令和7年度税制改正で実現すべき事項
原動機付自転車の道路運送車両法及び道路交通法の施行規則改正に合わせ、軽自動車税における種別等について、所要の見直しを行うべきである。
自動車税環境性能割については、次の措置を延長すべきである。
- ノンステップバスやUD(ユニバーサルデザイン)タクシー等のバリアフリー車両に係る特例措置
- 都道府県の条例に定める路線を運行する乗合バス車両の取得に係る非課税措置
- 先進安全技術を搭載したトラック・バスに係る特例措置
また、水素充填インフラの設置に係る固定資産税の特例措置についても、延長すべきである。
(2)中期的課題
2050年カーボンニュートラルの実現、CASE#9の進展、新しいモビリティ社会の到来など、自動車を取り巻く大きな環境変化を踏まえながら、自動車関係諸税のあるべき姿について、議論・検討を進めるべきである。今後2年間で国民的な議論を行い、「自動車からモビリティへの進化に伴う新しい社会価値の創出」と「マルチパスによる保有も含めたCO2削減」に資するよう、簡素化・負担軽減を前提に、新たな時代に適した公平・簡素な自動車税制に抜本的に見直すべきである。
Ⅳ.企業のグローバル活動を下支えする税制
1.OECD/G20 包摂的枠組み(以下「IF」)における経済のデジタル化に伴う課税上の課題への解決策「第1の柱(市場国への新たな課税権の配分)」、「第2の柱(グローバル・ミニマム課税)」に係る国際合意及び国内法制化と円滑な実施等
(1)「第1の柱」利益A(市場国への新たな課税権の配分ルール)関係
第1の柱の利益Aについては、利益B(移転価格の簡素化・合理化アプローチ)の未解決の部分とあわせて利益Aと利益Bとの相互依存性が明確にされた上で、2024年中の早いタイミングで多国間協定(MLC)の成案の合意に至り、2024年中の多国間協定の署名式を実施し、早期の発効を期待する。
第1の柱および第2の柱は、システム構築も含め、新たに企業に多大な実務負担を生じさせるものであり、簡素化や実務負担の軽減、予見可能性を十分に確保する措置が不可欠である。とりわけ、「第1の柱」利益Aについては、多大な実務負荷が生じるレベニューソーシングの簡素化は極めて重要である。また、円滑に二重課税を排除する観点から、支払事業体の特定やマーケティング販売利益セーフハーバーの仕組みについても簡素化・実務負担を軽減することが必要である。利益Aに関しては、既存の会計、税務、内部統制プロセスに留まらず、追加的なデータ取得や計算、管理体制の構築を必要とする極めて複雑な制度である点に鑑み、多国間協定の施行のタイミングについても企業の準備期間を十分に考慮すべきである。加えて、税務紛争の予防及び解決の観点から、早期安定性プロセスで可能な限りレビューを受けられるようにすることや、多国間の状況も含め、実効性ある紛争解決の仕組みを構築することが重要である。
なお、第1の柱との関係で、デジタルサービス税(DST:Digital Services Tax)及びインドの平衡税(Equalisation Levy)を含む一国主義的な税制措置(unilateral measures)については、検討中のものを含めて、早急にかつ確実に取り下げられるべきである。今後、IFが一体となり、G7も協調しつつ、DSTの課税を控え、多国間協定の発効に向けて尽力することを期待する。
また、国連における国際課税分野に関する新しい多国間枠組条約の検討については、課税権の再配分などのOECDにおける多国間協定と不整合を生じるようなルール形成は回避すべきである。
(2)「第1の柱」利益B(移転価格の簡素化・合理化アプローチ)関係
利益Bについて、利益Aとの相互依存性および納税者が適用を選択した場合のセーフハーバーとしての取扱いについて、早期に結論が出されることを期待する。
利益Bは、価格マトリクス等の算定プロセスが複雑であることや、利益Bの狭いレンジ幅に最終的な利益を収めるのは容易ではなく、結果的に期末において価格調整金対応が必要になると想定される。価格調整金は年度決算のプロセスや、損金性を確保するための後続税務処理への反映、関連者間での事前の契約締結、さらにはローカルファイルへの反映等、企業グループにおける広範囲の実務に密接に関係している。明確化すべき点に関するニーズを適切に反映しつつ、企業の実務から乖離しないかたちで詳細なガイダンスが提供されることが重要である。
2月に公表された現行の利益Bの枠組みでは、既存の移転価格ルールと利益Bが併存することになるため、相互協議での二重課税解消がより一層困難になることを懸念する。今後、より実効性ある二重課税の防止・排除の仕組みを構築すべきである。
また、利益Bを導入せずに、既存の移転価格税制の利益水準の指標として、利益Bのマトリックスを各国が活用することは慎まなければならない。
(3)「第2の柱」関係
第2の柱に係る追加的な実施ガイダンスの公表を歓迎する。各国の国内法制化において、独自の上乗せ要件が課されることがないよう、OECDを通じた各国への働きかけを期待する。
OECDの議論において、システム設計や社内の対応準備を進めていく観点から、恒久的セーフハーバーに関し、企業の実務負担を大きく軽減するかたちで、早期に制度設計が示されるべきである。企業としては、移行期セーフハーバーにおける国別報告書(CbCR)による設計を評価する。
令和6年度税制改正において、他国にてQDMTT(適格国内ミニマム課税)が課されている場合の適用免除基準やグローバル・ミニマム課税に関する外国税額控除の取扱いが明確化されたことを歓迎する。今後、追加の実施ガイダンスの改定等を踏まえた国内法制化の際も、企業の実務負担を軽減する観点が引き続き重要である。
QDMTTの国内法制化については、他国からのIIR(所得合算ルール)やUTPR(軽課税所得ルール)の発動や他国におけるこれらの税の申告において、セーフハーバーとしての役割が期待できる。他方、QDMTTの申告のために、多くの事務負担が発生する状況は避けるべきである。GloBE情報申告書などの様式も踏まえつつ、できる限り追加的な申告事項が少なくなるかたちで制度を設計すべきである。令和7年度税制改正以降において法制化が検討されているQDMTTについては、日本の法人実効税率を前提とすれば、基本的に税負担率が15%を下回るようなケースは限定される可能性はある。他方、QDMTTは15%を下回った際に、他国からのUTPRの発動に対するバックストップの制度として機能しうる。このため、他国からのUTPRの発動の関係や情報申告の場面において、QDMTTがない場合に、問題となりうるケースがないかは、他国の法制化の状況も踏まえつつ、よく検討する必要がある。
(4)その他
各国で検討されているCbCRの公開の動きについては、引き続き各国がBEPS行動13で定められたCbCRの「守秘・一貫性・適切な利用」という入手及び利用の条件を確実に遵守することが重要である。多国籍企業が各国で個別の対応を迫られ、実務負荷が非常に大きく、また、BEPS行動13の基準からも逸脱することになるため、国際的な税協力を損なうべきではなく、各国が独自にCbCRの公開の基準を設定することは抑制的であるべきである。
2.外国子会社合算税制(CFC税制)の見直し
「第2の柱」の導入に伴う追加的な事務負担やCFC税制固有の事務負担を軽減するために、令和7年度税制改正においても、わが国CFC税制に係る事務負担の大幅な軽減及び過剰合算の適正化が不可欠である。
とりわけ、「第2の柱」の導入に伴う簡素化・適正化を通じた事務負担の軽減の観点も踏まえつつ、令和7年度税制改正においてまず以下の項目を検討すべきである。
(1)CFC税制の簡素化・適正化
① 合算時期の見直し
グローバル・ミニマム課税に対応した実務にも考慮しつつ、例えば外国子会社が12月決算、本邦親会社が3月決算会社の場合でも十分な確認・納税手続き期間を確保できるよう、合算時期の見直しを行うべきである。
② 第2の柱およびCFC税制における情報の共用
グローバル・ミニマム課税における国別実効税率の計算と、CFC税制における租税負担割合の計算について、それぞれの計算に要する情報を利活用できるかたちとすることを検討すべきである。
③ 連結納税単位での判定の採用及び米国州税計算の簡素化
本来的には、連結納税を採用している法域においては、課税所得計算並びに納税ユニットである連結納税単位での判定を採用可能とすべきであり、連結納税単位での判定を企業グループが選択した場合は、CFC税制においても連結納税単位での検証を認めることが適当である。また、簡素化・事務負担軽減の効果をより実効的にする観点から、米国の州税計算について簡素化措置を導入すべきである。
④ 非課税所得の取扱い明確化
非課税所得については租税負担割合の計算における重要な計算要素となっているが、条文等に記載されている範囲が明確でなく、税務調査において機械的に非課税所得とされるケースなども存在する。また、現地税制を理解し、現地言語で記載された現地申告書から非課税所得を把握して計算することは納税者側としての負担が大きい。そのため、納税者側の実務負担が軽減されるよう、Q&A等を通じ、非課税所得の範囲を明確化すべきである。
⑤ 税務調査時の実務負担の軽減
租税負担割合20%以上30%未満(令和6年度申告以降は27%未満)の子会社に関しては、実体の乏しいペーパーカンパニーをCFC税制の課税対象としている制度趣旨等を考慮し、能動的所得がある会社について税務調査時における実務負担を軽減すべきである。租税負担割合に関わらず、事実上大半の外国子会社に関して一律に膨大な資料提出が必要となる場合、納税者として大きな実務負担となる。
調査の入り口の段階から全ての会社に対してあらゆる資料提出を求めるのではなく、まずは国・地域等のハイレベルな観点から調査対象子会社を絞り込み、次に決算書・申告書の提出を求めその内容を確認した上で、租税負担割合の計算根拠や実体基準・管理支配基準の根拠等の詳細な資料提出を求める会社を選択する等、確認対象を段階的に絞り込むことを検討すべきである。
⑥ 非関連者基準に係る物流統括会社特例の見直し
物流統括会社の特例における「被統括会社」の要件について、非関連者基準における物流統括会社特例の持ち株比率要件を廃止することや、被統括会社が統括会社と判定対象取引(売上又は仕入)の 25%以上を取引とする要件を追加することなど、特例の適用範囲について見直しを検討すべきである。
⑦ 子会社の現地所得及び非課税所得の合計額がゼロ以下となる場合における適用免除
子会社の現地所得及び非課税所得の合計額がゼロ以下となる場合、合算所得が多く生じるケースは想定できないため、判定対象の絞り込み及び CFC税制の適用判定の簡素化の観点から、適用を免除すべきである。
⑧ ペーパーカンパニーの除外特例規定の見直し
ペーパーカンパニーの除外特例規定において、事業開始前の新規設立会社・休眠会社等や、不動産保有会社で管理支配会社が複数いる場合等を、除外特例の対象に追加すべきである。
⑨ 事務負担の軽減に向けたその他の措置
各種添付書類について引き続き添付要件から保存要件とする対象を広げるべきである。仮に添付要件が残存する場合には、各種書類の添付に際し、PDF(イメージデータ)形式のみならずCSV形式も許容されるべきである。加えて、株主資本等変動計算書・勘定科目内訳書などの添付書類の一部について、必要性を検討し、事務負担の軽減の観点から添付を不要とすべきである。
組織再編やグループでの決算期統一等のために、決算期が一時的に12ヶ月を超える場合について、租税負担割合や課税対象金額の計算も12ヶ月を超えた期間を対象に計算することを許容すべきである。
(2)CFC税制の抜本的な見直しに向けた検討
CFC税制については、グローバル・ミニマム課税の導入もあり、企業実務において負担感が増している。OECDによりCFC税制はグローバル・ミニマム課税と併存可能とされているものの、両制度はどちらも外国に所在する子会社等の事業体における低い租税負担割合という事実に着目し、親会社の制度に基づいて課税を及ぼすという点で共通である。
グローバル・ミニマム課税は基本的に世界共通である一方、CFC税制は日本独自の要件も多く、また、判定の際に外国子会社の取締役会の議事録やオフィスの配席図まで求められる場合があるなど、提出資料が広範かつ詳細なものに及び、非常に負担感が強い。グローバルな大手税理士法人等にCFC税制の申告・管理業務の大部分を委託する企業も多く、課税対象金額が発生しない場合でも、CFC税制に対応するコストが非常に大きなものとなっている。
このため、CFC税制については、本税制の本来の目的である租税回避行為の防止・抑制という観点から、我が国企業の海外での健全な事業活動を妨げることのないよう、当該租税回避行為の定義の明確化を図ったうえで、その防止・抑制に特化する方向で抜本的な見直しを行うべきであり、今後、適用免除税率の引き下げなども含め、制度の対象を見直し、抜本的な簡素化を実現するよう、検討を深めるべきである。
諸外国においても第2の柱の導入に伴い、CFC税制の見直しが進展している。ドイツではグローバル・ミニマム課税の最低税率15%とあわせて、CFC税制の対象となる低税率の要件を25%から15%に引き下げている。また、イタリアでもグローバル・ミニマム課税の規定に沿った簡易な実効税率のテストを導入している。欧州委員会においても、2025年の第3四半期を目途にCFC税制の簡素化も念頭に、租税回避防止指令(ATAD:Anti-tax Avoidance Directive)の見直しを検討している。これらの海外の動きも踏まえつつ、日本のCFC税制についても大幅な簡素化の実現に向け検討すべきである。
(3)CFC税制のその他の見直しに係る要望
① 経済活動基準の見直し
抜本的な簡素化を基本とすべきである。特に事業基準からの著作権提供事業の除外や、株式保有業に係る所要の見直し等について、期限を定めながら、実現していくべきである。
② 合算範囲の見直し
引き続き過剰合算の軽減及び事務負担の適正化の方向で、外国関係会社が清算手続に入った場合等に生じる債務免除益等について、課税対象金額計算から除外すべきである。
全部合算におけるPMI(Post Merger Integration)特例の譲渡期間に係る要件(現行原則2年以内)や、譲渡対象株式についても緩和を検討すべきである。
受動的所得について、部分課税対象金額の上限を子会社の課税所得額とすること、受取利子を稼得するために要した間接費用の控除を認めることを検討すべきである。また、受動的所得における配当の持分比率の判定に関し、グループ会社による間接持分も考慮すべきである。
3.その他国内法関係の税制措置に係る所要の見直し
(1)外国子会社配当益金不算入制度の見直し
現行25%以上となる持株割合要件について、海外主要国の水準等を踏まえて緩和するとともに、判定のあり方についても外国法人経由を含むグループ全体で実施すべきである。なお、外国子会社からの受取配当に係る益金不算入割合については、国内投資の促進等の観点も踏まえつつ、引き上げを検討すべきである。
(2)外国税額控除制度
外国税額控除制度について、控除限度超過額及び控除余裕額の繰越期間を現行の3年間から延長すべきである。また、外国税額控除額の計算の際、一時的な所得の増減等により控除できない額が生じることが無いよう、対応を検討すべきである。
4.租税条約関係
(1)租税条約の改定、新規締結に係る要望
投資交流の促進と二重課税の排除という租税条約の本来の目的を貫徹し、使用料・配当・利子に係る源泉税の一層の減免を実現する方向で、以下の国・地域との交渉を推進すべきである。とりわけ、グローバルサウスの各国に関しては、今後の経済成長を取り込む観点から、租税条約の新規締結・改定は重要である。
租税条約交渉の際は、技術上の役務対価(FTS:Fees for Technical Services)条項について、既存の租税条約に盛り込まれている場合には見直しを行うとともに、新規締結時にも慎重に検討すべきである。また、恒久的施設(PE)の範囲の明確化、LLPやLLCなどの適格者判定のあり方にも留意が必要である。
この他、OECDモデル租税条約から逸脱している内容について、可能な限りOECDモデルに近づける形で交渉するとともに、租税条約に反する課税がなされないよう、条約に適合するかたちでの国内法の整備を求めていくべきである。あわせて、規定を確実に執行することに強制力を持たせる仕組みの導入も検討すべきである。
BEPS防止措置実施条約(MLI)、適格当局間多国間合意(MCAA)への各国・地域の積極的な参加について、OECD等を通じて働きかけるべきである。さらに、MLIにおける仲裁規定の導入に向けた働きかけを進めるとともに二重課税排除に向けて実効性のある形での相互協議の円滑な運用・推進を行うべきである。
<改定国・地域>
- アジア:
- 中国、インド、タイ、インドネシア、ベトナム、韓国、台湾、シンガポール、フィリピン、マレーシア、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ
- 大洋州:
- オーストラリア
- 欧州:
- アイルランド、イタリア、ポーランド、チェコ、エストニア、ドイツ、ロシア、英国
- 中東:
- サウジアラビア、クウェート
- 中南米・北米:
- ブラジル、メキシコ、カナダ
<新規締結国・地域>
- アジア:
- カンボジア、ラオス、モンゴル、ネパール、ミャンマー
- 大洋州:
- パプアニューギニア
- 中東:
- イラン
- アフリカ:
- ケニア、ナイジェリア、ガーナ、モザンビーク、エチオピア、セネガル、チュニジア、アンゴラ、ウガンダ、コートジボワール、ブルキナファソ、マダガスカル、タンザニア、コンゴ民主共和国
- 中南米:
- パナマ、ベネズエラ、ボリビア、グアテマラ、エルサルバドル、ドミニカ共和国、ホンジュラス
なお、アルゼンチンについては、租税条約の署名及び日本の国会の承認を経ているが、相手国側の承認が進まず、発効に至っていないため、早期発効を期待する。
(2)ロシアとの租税条約における取扱いの見直し
2023年8月にロシアが日本を含む38ヶ国との租税条約を一方的に停止する大統領令を発令した結果、ロシア側における租税条約に基づく源泉税の減免措置が適用できず、相互協議も実施されない状況となった。
他方、日本においては、依然ロシアとの租税条約は有効と扱われるため、支払った超過税額について外国税額控除が適用できない事態となっている。
ロシアとの租税条約については早期に現地で適用が再開される見込みはなく、相互協議も実施できないにもかかわらず、外国税額控除を適用できないのは不合理であるため、本件について日本側の取扱いを見直すべきである。
(3)多法域にまたがる労働移動に伴う課税関係等の明確化
リモート勤務を活用して、わが国にいながら海外現地法人の社員として勤務を行う場合(いわゆるバーチャルアサインメント)、わが国での現地法人のPE認定の有無に係る法令の解釈や租税条約におけるPEの認定を明確化すべきである。あわせて、スタートアップにおける雇用形態の多様化やパートナーの海外転勤等に伴い、日本法人の社員が海外居住地からリモートワークを通じて日本における業務を行う場合についても、両国間での租税条約上の恒久的施設の考え方を整理し、二重課税が生じないようにすべきである。
- 企業全体の経常利益は、コロナ禍では一時的に落ち込んだものの、総じて増加傾向で推移している。財務省「法人企業統計」によると、金融・保険業を除く全産業の経常利益は、平成26年度の64.6兆円から、令和4年度は95.3兆円に増加している。
- 内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(令和6年7月29日)によると、堅調な経済成長が見込まれる中、税収の増加や、累次の経済対策にかかる歳出の大宗が令和6年度までに執行されることを背景に、国・地方のプライマリーバランス(PB)は令和7年度以降、黒字になると予測される(令和7年度は対GDP比0.1%程度)。
- ソフトロー:法的な強制力がないが、現実の経済社会において企業等が何らかの拘束感をもって従っている規範。
- 原則4-2
- https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/002.html
- https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/024.html
- 金融機関は、顧客から、税法上マイナンバーが必要な取引の申込み等があった場合、当該顧客からマイナンバーの告知を受ける必要がある(告知要件)。その際、金融機関が当該顧客のマイナンバー等を記載した帳簿を備えている場合(帳簿要件を満たす場合)は、一定の取引について、マイナンバーの告知は不要とされる。
- Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料
- Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)の略称。