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Policy(提言・報告書)  環境、エネルギー 米国によるLNG輸出認可審査の一時停止に関する日米欧経済団体 共同書簡

(仮訳/正文英文
2024年1月26

アメリカ合衆国大統領
ジョセフ・バイデン 閣下

米国、欧州、日本を代表する経済団体として、我々は、エネルギー省(DOE)による自由貿易協定(FTA)非締結国への液化天然ガス(LNG)輸出認可申請の審査と承認を一時停止する最近の発表に懸念を表明すべく、書簡を送付いたします。

ご存知の通り、FTA非締結国には日本と欧州連合(EU)が含まれ、いずれもエネルギー安全保障上、米国産LNGの輸入に大きく依存しております。我々は、不可欠なエネルギー安全保障とパリ協定という我々が共有する目的を達成するうえで、米国産天然ガスが特別かつ不可欠な役割を担っている観点に照らし、この決定を再考するよう強く求めます。

供給の安全性に関しては、欧州と日本がロシアへの依存から脱却し供給源を多角化することを支援する上で、米国産LNGが極めて重要であることはよく理解されています。ロシアによる不当なウクライナ侵攻の余波の中、このような重要な供給により、大きな必要性と不確実性の中にあって、欧州と日本の人々の家庭、工場、ビジネスにおける熱需要と電力が支えられてきました。供給源のさらなる多様化が必要であり、世界の天然ガス需要は今後10年間にわたり増加が予測される中、世界市場にはLNGの追加供給が必要です。

我々は、排出削減の進展を継続する方法で、この需要を満たすことができることを知っています。12月、国連気候変動会議(COP28)に招集された約200カ国は、「トランジション燃料は、エネルギー安全保障を確保しつつ、エネルギー・トランジションを促進する役割を果たすことができる」とするドバイ・コンセンサスに合意しました。これは、天然ガスが、より排出量の多い燃料に代替する可能性に関する明確な言及です。さらに、我々は世界中で生産・輸送・消費される天然ガスの温室効果ガス排出量を削減する、メタンガス排出削減のための世界的な取り組みを強く支持しています。

世界をリードする民主主義国家が、安定的で安全なエネルギー供給へのアクセスを確保することは、地政学的にも経済的にも不可欠であり、同時に、よりクリーンな天然ガスで、排出削減を継続的に進めることができ、環境に資する機会がもたらされます。これらの理由から、我々は米国政府に対し、FTA非締結国へのLNG輸出認可申請の審査がこれ以上遅れることのないよう強く要望します。そうでなければ、同盟国、投資家、エネルギー市場に問題となるシグナルを送ることになり、それが今後何年にもわたって広まる可能性があります。

我々は、エネルギー安全保障、経済的ウェルビーイング、環境の持続可能性という我々が共有する目標を推進するために、貴政権を支援する熱意を有しており、必要に応じて追加情報を提供する用意があります。我々の見解を考慮いただきお礼申しあげます。

米国商工会議所、ビジネスヨーロッパ、経団連
CC.
岸田文雄 日本国内閣総理大臣
フォン・デア・ライエン欧州委員長
シャルル・ミシェルEU大統領
アンソニー・ブリンケン米国務長官
ジェニファー・グランホルム 米エネルギー省長官
ジェイク・サリバン 国家安全保障大統領補佐官
アリ・ザイディ 大統領補佐官・国家気候顧問
ジョン・ポデスタ 大統領上級顧問(クリーンエネルギーイノベーション・実装)
敬具

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