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Policy(提言・報告書)  環境、エネルギー 「GX実現に向けた基本方針」
パブリックコメント募集に対する意見

2023年1月20
一般社団法人 日本経済団体連合会

「サステイナブルな資本主義」の実現や、わが国が国際的にコミットする2050年カーボンニュートラル達成に向けては、国を挙げて、経済社会全体の変革であるGXを推進する必要がある。GXは、気候変動問題という社会課題の解決に取り組みつつ、国内投資を活性化するものであり、経済成長に大きく貢献することが期待できる。

今般取りまとめられた「GX実現に向けた基本方針」(以下、「基本方針」)には、原子力の最大限の活用を含むエネルギー政策、GX経済移行債による長期・大規模な政府支援を含む成長志向型カーボンプライシング構想など、わが国のGX推進の骨格となる重要施策が盛り込まれた。

温室効果ガスの着実な削減を図るとともに、気候変動対策を産業政策として新たに位置づけ、競争力の維持・強化を目指す歴史的な方針であり、高く評価できる。

かかる基本認識のもと、下記の意見を申し上げる。

1.エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取組(3~13頁)

現下のエネルギー情勢を踏まえ、再生可能エネルギーや原子力といった、エネルギー安全保障の強化とカーボンニュートラルの両立に資する電源を最大限活用する方針が示された意義は極めて大きい。

再生可能エネルギーについては、次世代太陽電池の研究開発・導入支援や、浮体式洋上風力の技術開発・大規模実証、蓄電池の導入支援・事業環境整備等が盛り込まれた。適地の不足や調整力の確保等、再生可能エネルギーの主力電源化に向けてかねてネックとなっていた課題の解消を目指すものであり、大きな前進である。

また、原子力については、安全性の確保を大前提に、既設プラントの着実な再稼働や運転期間の延長とともに、廃止決定した炉の建て替えも念頭に、高温ガス炉、高速炉、革新軽水炉、SMRといった次世代革新炉の開発・建設に取り組むとしたことは、高く評価できる。原子力を利用する上で不可欠なバックエンド対策についても、六ケ所再処理工場の竣工目標実現などの核燃料サイクルの推進や、最終処分の実現に向けた国の役割の明確化など適切な方向性が示されており、これらを着実に実現していくことが肝要である。

こうした取り組みと並行して、高レベル放射性廃棄物を排出せず、相対的に安全性の高い核融合発電の社会実装に向けて、国を挙げて研究開発に取り組むことが求められる。

2.「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行(13~22頁)

「GX経済移行債」を発行し、10年間で20兆円規模の投資支援を「火付け役」として政府が先行実施することは、企業の予見可能性を高め民間投資の活性化を促すものである。あわせて、GX経済移行債の将来財源や先行投資のインセンティブとして「排出量取引制度」と「炭素に対する賦課金」を導入していくことで、排出削減・抑制を図りながら、150兆円を超える官民のGX投資を実現する、重要な一歩となると考えられる。

「基本方針」に基づき、技術開発の動向や経済界の意見を十分踏まえながら、産業競争力の維持・強化につながる形で、具体的な制度設計を進めていただきたい。

3.GXを実現する新たな政策イニシアティブの実行状況の進捗評価と見直し(26頁)

GX経済移行債を通じた政府の支援対象や、排出量取引制度の詳細設計など、GXの具体化に向けた検討は道半ばである。

政府による取組みの進捗をしっかりと検証し、民間投資の主たる担い手である企業・経済界の意見もよく踏まえながら、具体的な政策の実施、政策の不断の見直しを行っていくべきである。

経済界としても、自らGXに果敢に挑戦していくとともに、科学的、論理的、定量的に、GXに関する積極的な情報発信や政策提言を行うことで国民的議論を喚起し、GXの着実な推進に取り組んでいく覚悟である。

以上

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