エンターテインメント・コンテンツ産業のグローバル化と市場拡大が進む中、戦略的に産業振興に取り組んできた韓国等の作品が、各分野で目覚ましい躍進を見せており、ひいては国としてのプレゼンス向上につながっている。

エンターテインメント・コンテンツだけでなく文化・芸術等も包含した、より広い意味でのクリエイティブ産業は、ソフトパワーの源泉であり、その影響力は益々高まっている。国際政治経済秩序のあり方が模索される中にあって、わが国への関心や親しみ、好感度を高めるとともに、発信力の向上に資すると期待されることからも、その重要性について官民で認識を共有し、強化に取り組むことが求められる。

日本発のエンターテインメント・コンテンツは、これまで多くの分野で国際的に高い評価を得てきた。今後も産業として競争力を高めていくためには、国として安定的資金を確保した上でグローバルマーケットを想定したコンテンツの作成と発信に、戦略的かつ継続的に取り組むことが不可欠である。以下の提言を踏まえた早急な対応を要望する。

１．ソフトパワーとしてのクリエイティブ産業に関する政策の再構築と関連施策の有機的連携・展開【政治への期待】

• 現在、エンターテインメント・コンテンツを含む文化政策は、複数の府省庁・機関が推進しているものの、戦略的、効果的に展開されていない。
• ソフトパワーの源泉であるクリエイティブ産業の振興に向けて政策を再構築し、一元的に施策を推進する体制の整備が必要である。

２．世界に通用するエンターテインメント・コンテンツ産業の育成と資金的支援【政府への期待】

• 海外にも通用するコンテンツを制作するため、財政投融資も活用してリスクマネーを供給、支援することが必要である。
• 併せて、寄付の拡大に向けた寄附金税制拡充なども検討が必要である。

３．持続可能なエンターテインメント・コンテンツ産業の基盤づくりのための人材育成

• 高等教育機関でのクリエーター育成に資する実践的カリキュラム（技能やビジネスに関する知見の習得等）ならびに教育体制を強化すべきである。【政治への期待ならびに政府、民間の連携】
• ２．の資金スキームを活用し、人材育成策への支援を強化すべきである。【民間の役割】
• 各ジャンルならびにエンターテインメント・コンテンツビジネスで先行する諸外国の知見の共有に向けた講師等の招聘支援
• 海外留学制度の充実ならびに帰国後の受け皿の構築

経済界としても、エンターテインメント・コンテンツ産業の振興、ひいてはクリエイティブ・エコノミーの振興に向けて必要となる官民の取り組みについて、今後さらに検討を深めていく。