一般社団法人 日本経済団体連合会
環境エネルギー本部
わが国の目指す2050年カーボンニュートラルの実現を、金融面から後押しする観点から、革新的な技術の開発やネット・ゼロエミッション技術(温室効果ガス排出量が実質ゼロの水準にある技術)の普及に加え、低炭素化技術など、脱炭素社会への移行に必要となるトランジション技術の普及にも資金動員を促していくことが不可欠である。かかる認識のもと、経団連はかねてより、信頼性を担保しながら、トランジション・ファイナンスを促す環境整備を政府に求めてきた。
今般、政府の「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」での検討を経てパブリックコメントに付された「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」(案)は、国際資本市場協会(ICMA)の「トランジション・ファイナンス・ハンドブック」に準拠しつつ、わが国の実情を踏まえた内容となっており、概ね高く評価できる。
日本政府は、本基本指針の国内での普及に努めるとともに、地球規模でのカーボンニュートラルの実現に貢献する観点から、トランジション・ファイナンスに関する基本的考え方を広く海外に発信し、国際的な理解の醸成と普及を図ることで、トランジション・ファイナンスに関する信頼構築とさらなる拡大を目指すべきである。
経済界としても、本指針を踏まえた業種別ロードマップの策定に向けた今後の議論等に積極的に参画するとともに、カーボンニュートラル実現に向けた企業の技術開発・社会実装・ファイナンスへの挑戦を力強く後押しする「チャレンジ・ゼロ」をはじめとする主体的な取組みを、日本政府とも連携して強力に推進していく。