2020年11月6日、アジアの12の国・地域を代表する14の経済団体の参加の下、第11回アジア・ビジネス・サミット(ABS)をオンラインで開催した。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、経済活動が停滞し、世界経済は極めて厳しい状況にある。今こそ、我々アジア経済界が一丸となり、各国・地域政府や国際機関などと連携し、この困難を克服する必要がある。こうした状況のなか、今回のサミットでは、With & Postコロナ期における経済産業戦略やアジアにおける協力課題などについて議論を行った。
まず、各国・地域の経済団体より、新型コロナウイルスの感染状況、政府・経済界・企業の対応策などについて説明し、情報を共有した。
各国・地域の政府には、国民の生命、生活、経済、雇用を守るため、強靭な医療提供体制の確立や安定した医療物資の供給などを通じた感染拡大防止と、企業や労働者への支援などを通じた経済活動の両立に万全を期すよう求める。我々アジア経済界としても、持てる資源を最大限活用し、一致結束して、事業継続、雇用維持、サプライチェーンの多元化・強靭化などに積極的な役割を果たしていく。
その上で、我々は、With & Postコロナ期において、この逆境をむしろチャンスと捉え、アジアのさらなる持続的成長へとつなげていく必要がある。今次サミットでは、通商政策、インフラ整備、デジタル化、環境・エネルギーなど、アジア経済が直面する課題について議論を深めた。その結果、我々アジア経済界は、以下の重要性を共有した。
まず、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化が重要であり、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期実現や環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の拡大等を通じた地域経済統合を推進すべきである。また、質・量両面での一層のインフラ整備を通じて、パンデミックにより分断された地域の連結性を再構築・強化していく必要がある。さらに、信頼性ある自由なデータ流通を通じたデジタル革新(DX)など新常態にも対応した成長戦略の実行、脱炭素社会への移行に向けたエネルギー・環境技術の開発・普及とその金融面からの後押しなどが望まれる。これらの課題について、経済界同士の連携・協力を一層加速させるとともに、各国・地域政府、および政府間の協調した取り組みを求めたい。
我々は、今後もABSの枠組を活用し、地域の持続的な発展に向けて、アジアが直面する課題について議論し、Society 5.0 for SDGsの実現に寄与していく。