一般社団法人 日本経済団体連合会
新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本経済は極めて深刻な状況にある。本年4~6月期の実質GDPはマイナス27.8%(前期比・年率換算)と、リーマンショック時をはるかに超えて、過去最大の落ち込みを記録した。このような状況下にあっても、6月の完全失業率は2.8%と、リーマンショック後と比べて低位で推移している。これは、経済界が、数次にわたって拡大された雇用調整助成金新型コロナウイルス感染症特例措置(以下、雇調金特例措置)も活用しながら、雇用の維持に全力で取り組んだ結果である。感染症拡大防止と経済の両立を目指すうえで、失業予防対策の意義は大きい。
新型コロナウイルス感染症数は、5月25日の緊急事態宣言解除以降、7~8月に入って再び拡大している。ワクチンや治療薬の開発・普及の目途がたっていないなか、感染症収束の道筋は未だついておらず、経済の先行きは不透明である。感染症拡大は企業規模を問わず、事業活動に深刻な影響を与えており、現在、休業者は約236万人#1に達している。上場企業の純利益合計額は前年同期比で約6割減少#2しており、今後、企業業績の悪化が雇用に与える影響は予断を許さない。
こうしたなか、経済界は引き続き、事業の継続と雇用の維持を最優先に取り組む所存であり、そのためにも、雇調金特例措置に対するニーズは依然として強い。
政府におかれては、今般の歴史的危機を官民が力を合わせて乗り切るという観点から、予備費などの一般財源も投入しつつ、期限が切れる10月以降も企業規模を問わず、現在講じられている雇調金特例措置の延長をお願いしたい。
- 2020年6月の休業者数は236万人(前年同月差+90万人)〔労働力調査〕
- 2020年4~6月期決算における上場企業の純利益合計額が前年同期比57%減少〔日経新聞 8月19日〕