経団連、ビジネスヨーロッパ、米国商工会議所
我々は、欧州、日本、米国それぞれにおいて強固な基盤を有し、かつ世界で活動する企業を代表する経済団体である。我々の重要な活動目標の一つは、公正かつルールに基づいたグローバルな貿易秩序を提唱することである。
世界貿易機関(WTO)は、1995年の設立以来、企業による投資と雇用創出のために必要な安定性と予見可能性をもたらす多国間のルール策定の基礎として機能してきた。
世界経済はWTO発足以来大きく発展してきたが、WTOルールはほとんど変わっていない。モノとサービスの貿易は、WTOが設立された1995年には6兆ドルであったが、2018年には25兆ドルと4倍以上に増加し、GDPに占める世界貿易の割合も20%から30%に増加した。多角的貿易体制を維持・強化するためには、今日のグローバルな貿易環境に適応したルール策定交渉の進展が不可欠である。
現在、特に(輸出補助金以外の)産業補助金、国有企業(SOE)の行為、ならびに強制的技術移転といった、市場歪曲的慣行に効果的に対処するための一貫した包括的ルールが欠如しており、ルールと実態とのギャップに、早急に対処する必要がある。日米欧は、これらに関する適切な規律に合意するため、大臣レベルで協議を重ねてきている。
我々経済界は、この三極による取組みを完全に支持し、WTO改革のプロセスを進展させる具体的な提案の策定を急がなければならないとの危機感を共有している。したがって、ここに我々は、日米EUに対し、協議の密度を増し、他のWTO加盟国との間で議論できるような提案を迅速に行うよう求めるものである。
現在、WTOは発足以来、最大の危機に直面している。上級委員会は、貿易面の緊張が高まっているこの瞬間にあって、機能を停止しており、その悪影響は壊滅的なものとなりかねない。例えば、紛争解決システムが適切に機能していないことは、貿易歪曲的な措置に対処する我々の努力を著しく損なうことになる。企業にとっては、明確かつ予測可能なルールが、効果的かつ効率的に執行されることが必要である。
WTOは、市場アクセスの改善、ルールの策定、速やかな紛争解決、紛争を抑止するための救済措置という4つの機能を提供する機関として息をふき返す必要がある。産業補助金、国有企業、強制的技術移転等に関する速やかな改革は、かつてないほど重要かつ緊急性を有するものとなっている。