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Policy(提言・報告書)  地域別・国別 アジア・大洋州 第9回アジア・ビジネス・サミット共同声明

<仮訳/英語正文
2018年7月13日

2018年7月13日、アジアの経済団体がインドのニューデリーに集まり、第9回アジア・ビジネス・サミットを開催した。同サミットは、経団連とインド工業連盟(CII)が共催し、他のアジアの主要経済団体の協力を得て開催した。サミットでは、アジアのエコノミーが、自由で開かれた国際経済秩序の下、広範な協力を通じて共に成長し繁栄するという目標を共有していることを確認するとともに、その目標実現に向けて、包摂的成長及びイノベーションをテーマに議論し、アジア経済界の共通認識として以下の共同声明を取りまとめた。

1.包摂的成長

(1)自由で開かれた国際経済秩序の重要性

アジアは、世界の持続的な経済発展を牽引するとともに、発展の恩恵を幅広く共有する包摂的な成長実現のためのエンジンであり、その推進においては、企業が主要な役割を果たしていかねばならない。とりわけ、サプライチェーンのグローバル化が進展する中、企業が国境を越えた事業活動を、自由かつ円滑に行ない得る基盤整備が極めて重要となっている。同時に、中堅・中小企業、さらには地場企業を含め、より多くの経済主体がグローバルなバリューチェーンに参画する機会を提供していくことが重要である。

近年の世界的な反グローバリゼーションや保護主義の高まりが懸念される中、アジアのエコノミーが、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けて連携・協力していくことが重要であり、貿易・投資一層の自由化とともに、知的財産の保護や公正競争の確保等のルール整備などを通じたビジネスの円滑化に共に取り組んでいかねばならない。

このためアジア経済界は、互恵的で緊密な関係を強化する制度的基盤として、環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ先進的TPP協定(CPTPP)や東アジア地域包括的連携協定(RCEP)を含む経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の早期合意ならびに実現を求めるものである。また、EPA及びFTAは全ての主体が裨益するよう、排他的であってはならず、WTO整合的な貿易の自由化が実現されるものでなければならない。同時に、自由で公正な取引を促すため、アジア域内の非関税障壁に適切に対処していく必要がある。自由で闊達な事業活動の妨げとなっている各種規制の撤廃・緩和や、行政手続の簡素・迅速化、公平性・透明性・予見可能性の確保、関連情報の提供等を通じたビジネス環境の整備も重要である。

(2)包摂的成長を支えるインフラの整備

アジアでは、経済活動及び国民生活の基盤であり包摂的成長の実現を支える電力、通信、道路、鉄道、上下水道、港湾、空港などの基幹インフラの整備が急務となっている。同時に、各産業の成長に貢献するインフラを優先的に整備していかねばならない。

アジア経済界は、経済性、安全性、リスクに対する強靭性、社会・環境への配慮を具備したインフラ整備に向け、知見を共有しつつ協力を推進していく。そのための政府・関係機関の各種施策の改善・充実を求めたい。

2.イノベーション

(1)イノベーション協力を通じた新たな価値の創造

包摂的成長の原動力はイノベーションであり、研究・開発段階から財・サービスを生産し市場に供給するあらゆる過程において、また、あらゆる産業において、その高度化・競争力強化を図る上で不可欠である。同時に、アジア地域が直面する様々な社会問題を解決し国民生活の質的向上を図っていく上でも、革新的な技術やアイデアを活用した制度面を含めた改革を実現していかねばならない。

このためアジア経済界は、経済・社会の発展段階や産業構造の多様性に係わらず、あらゆるエコノミーが裨益する形でイノベーション推進に向けた協力を強化するものである。また、気候変動、災害、健康、少子高齢化等の課題解決を図るべく、環境、防災、医療・介護、ヘルスケア等の分野での連携拡大を進めていく考えであり、政府・関係機関には、一層のイノベーション創出と連携・協力を促す環境整備を求めたい。

(2)イノベーションを担う人材の育成・活用

イノベーションを支えるのは人材であり、国籍、人種、年齢、性別を問わず多様な知識、経験、価値観、発想等を有する人材の育成・活用や、これらの人材間での相互啓発や切磋琢磨を可能とする環境整備も重要である。

とりわけ、さらなるイノベーションを促すため、AI、IoT、ヘルスケア等の分野において情報を交換し、若者の教育を保証していくことが不可欠である。

このため、アジア経済界は、アジアのエコノミー間の高度人材の還流を目的とするイノベーティブ・アジア等、アジア全体のイノベーションを実現するための人材交流プログラムを歓迎するとともに、これらの協力を強化するため各エコノミー間の対話を拡大していく。

革新的技術の開発にいち早く取り組むスタートアップ企業の育成に向け、政府・関係機関は各エコノミーの先進的取組みの知見を共有し地域全体で推進する各種制度を整備する必要がある。経済界としても、OJT、インターン受入れ、奨学金の付与等を通じて人材育成を進めるとともに政府・関係機関の各種プログラムに積極的に協力していく。

また、観光は有望な成長分野であるとともに、人々の交流を促す場を提供し、各エコノミー間の連携・協力の基盤となる相互理解と信頼関係の構築に資するものである。アジア経済界は観光産業の一層の発展と人的交流の機会拡大に相協力して貢献していく。

以上

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