一般社団法人 日本経済団体連合会
日本商工会議所
公益社団法人 経済同友会
行政のあり方をデジタル前提で見直す「デジタル・ガバメント」は、行政機関の生産性向上・働き方改革や財政健全化を進めるうえで不可欠の基盤であり、行政手続が簡素化されることにより、煩雑で大量な行政手続を強いられている国民や事業者に多大な恩恵をもたらす。本年1月の「デジタル・ガバメント実行計画」は、利用者中心の行政サービス改革や、行政サービスと民間サービスの連携、官民データの活用促進といった新機軸を打ち出し、従来の電子行政の計画と一線を画した。経済界は、同計画の早期具体化、とりわけ、「デジタル化3原則#1」に基づく国・地方を通じた「行政サービスの100%デジタル化#2」を強く期待している。
鍵を握るのは、次期国会に向けて政府が準備を進める「デジタルファースト法案」である。国・地方が連携して旧来の制度・業務フロー・慣習を一掃し、デジタルを前提とした新しい社会への大転換を図るべく、以下の事項を法案に盛り込むことを要望する。
- すべての行政手続のデジタル化および行政機関間の情報連携等を通じた添付書類の撤廃
- 行政手続における出頭・対面の原則廃止
- 署名・押印に代わる、デジタル技術を用いた本人確認の原則化
- 手数料支払いのキャッシュレス原則化およびデジタル化に伴う手数料の引き下げ
- 国・地方を通じた業務改革・業務標準化とデジタル化の徹底
あわせて、国民や事業者がデジタル・ガバメントの便利さを実感できるプロジェクトの早期実現も欠かせない。マイナンバーカードの普及加速やできるだけ簡易な形での電子認証手段の確立#3、中小企業を含むすべての事業者が容易にデジタルで手続できるようにするための行政システムAPIの整備・提供と並行して、法人設立#4、従業員の社会保険・税、子育て・引越し・介護・死亡・相続といった手続のオンライン・ワンストップ化の具体的な工程を示し着実に推進する必要がある。そのため、政府の成長戦略や各府省が策定する中長期計画にプロジェクトの推進体制や取組内容、工程表、モニタリング方法および評価の仕組みを明記し、各府省一体となって迅速に実現することを要望する。
- (1)デジタルファースト、(2)ワンスオンリー、(3)コネクテッド・ワンストップ
- 行政のあらゆるサービスを最初から最後までデジタルで完結させる。
- とりわけ、すべてのスマートフォンOSに対応した本人認証アプリケーションの開発を加速させることが重要である。
- 法人の変更登記(定款、役員、本店所在地等)についても、オンライン・ワンストップで完結しないとの指摘がある。