於:日本 東京
1.日本経済団体連合会(経団連)と全国経済人連合会(全経連)は、2015年10月26日、両団体の首脳間の懇談会を日本・東京の経団連会館で開催した。経団連側は榊原定征会長をはじめ22名、全経連側は許昌秀会長はじめ16名がそれぞれ参加した。
2.日韓両国は、2015年、国交正常化50周年を迎えた。過去50年、日韓両国は隣国として、緊密で互恵的な経済関係を築き上げ、大きな経済発展を遂げた。日韓両国は、50年の協力関係とその成果を糧に、今後、さらに揺るぎない確固たる経済関係へと未来志向で進化させていく必要がある。
そこで、今回の首脳懇談会では、日韓国交正常化50周年に際して、日韓両国がともに抱える中長期的課題と、その解決に向けた協力のあり方等を巡って意見交換を行い、次の50年の日韓両国のさらなる繁栄に向けた中長期ビジョンを共有した。3.冒頭、日本側は、2015年1月に、経団連が2030年のあるべき日本の姿を見据えた将来ビジョンとして発表した「『豊かで活力ある日本』の再生」について、紹介を行った。その上で、日韓双方から最近の経済情勢について報告した。日本側からは、いわゆる「アベノミクス」の下で景気が回復に向かっていることを報告した。韓国側からは、労働・公共・教育・金融分野を対象とした韓国政府の4大改革についての報告があった。両国は持続的な成長を実現していくためには、政府の経済政策が重要な鍵となるということを共有し、両国政府が事業環境のさらなる整備に関する積極的な取組みを継続的に行うよう、両国経済界が協力していくことにした。
4.資源に乏しく貿易・投資立国として経済発展を遂げてきた日韓両国が今後も引き続き、持続的な経済成長と豊かな国民生活を実現するためには、とりわけ、(1)イノベーションを通じた企業の競争力の強化、及び(2)グローバリゼーションを通じた海外の活力の取り込みが重要である。
続くセッションでは、こうした認識の下、イノベーションとグローバリゼーションをテーマに日韓双方より現状と課題について報告するとともに、今後の相互協力の可能性について意見交換を行った。5.イノベーションの推進を巡っては、成長の起点となる科学技術イノベーションの推進の重要性について認識を共有するとともに、情報通信、IoT、健康・医療等の今後の成長分野における日韓協力の可能性について意見交換を行った。また、成長を下支えする人材の育成、多様な人材の活用について双方の考え方を確認するとともに、若者等両国の人材交流の重要性について認識をともにし、両国の企業が相互に協力していくことにした。
6.グローバリゼーションへの対応においては、日中韓FTA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の早期締結に向けて、日韓両国が緊密に連携するとともに、投資環境の改善を推進することを合意した。また、韓国のTPP参加が日韓両国間の協力強化ならびにアジア・太平洋地域の経済連携の推進に資するとの認識をともにした。韓国側より、世界的な金融市場の不確実性を考えると、アジア諸国との間の緊密な金融協力が必要であり、日韓両国が優先的に金融協力の強化に率先すべきであるとの意見が示された。また、観光等の具体的分野での日韓産業協力の促進、第三国市場での日韓企業の協力のあり方や協力の促進に向けた方策と仕組みづくり等について検討した。さらに、環境、資源・エネルギー、食料等の地球規模の課題の解決に向けて、日韓両国が相互協力し、貢献していくことを確認した。
7.また、11月初旬に約3年半ぶりに開催が予定されている日中韓首脳会談を機に、日韓の政府間の交流が様々な形で進み、政治・外交両面で安定的な礎が構築されるよう、両国経済界としても最大限の協力を行うことで合意した。具体的には、日中韓首脳会談開催の折に、中国の国際貿易促進委員会とともに「日中韓ビジネス・サミット」を開催するとともに、本日午後には、日韓経済協会、韓日経済協会等とともに日韓のオール財界で「日韓国交正常化50周年記念シンポジウム」を開催するなど、経済交流のみならず、日韓の幅広い分野での交流促進に向けた機運の情勢に向け、取り組むこととした。
8.双方は、来年の然るべき時期に、次回の経団連・全経連首脳懇談会を韓国・ソウルで開催することで合意した。
日本経済団体連合会 会長 榊原定征 |
全国経済人連合会 会長 許 昌秀 |