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Policy(提言・報告書)  産業政策、行革、運輸流通、農業 コンテンツの海外展開に向けたローカライズ・プロモーションの支援継続に関する緊急要望

2014年11月18日
経団連 産業問題委員会
エンターテインメント・コンテンツ産業部会

魅力あるコンテンツの戦略的な海外展開は、ソフトパワーと国家ブランドの強化につながるとともに、幅広い産業の海外展開や外国人観光客の呼び込みといった効果も期待される。

わが国にとって重要なアジア地域においては、外国政府の戦略的かつ手厚い支援を受けた当該国のコンテンツが、現地テレビ局への番組の無償提供も含め積極的にマーケティングを展開している。このため、IT機器や家電、観光等の分野も含めて日本の商品・サービスの存在感が弱まる結果を招いた。

こうした中、経済界からの強い要望により2013年3月に創設されたJ-LOP(ジャパン・コンテンツ・ローカライズ&プロモーション支援助成金)は関係者の尽力もあって順調に活用され、2014年9月時点でローカライズ(注1)・プロモーション合わせて約3,000件の支援案件を採択、ローカライズされたコンテンツは29言語118カ国へと拡大、新興国におけるジャパン・チャンネルの創設や新たなオールジャパンプロモーションイベントの立ち上げにもつながった。また、電機、流通、観光、ファッション、食品等の幅広い業界の企業や自治体が行うプロモーションにもJ-LOPが活用されるとともに、北海道のテレビ局作成の情報番組の放映に合わせ放映先国で北海道フェアを行った店舗の売上げが大幅に増加するといった事例も生み出した。

(注1)展開先に合わせた字幕・吹替えの付与、シーン・音楽の差替え等

企業・自治体によるJ-LOPの積極的な活用に伴い、2012年度補正予算において措置された約155億円は本年度内にも消化されるとの見通しもあり、経済界としては来年度以降に事業継続が出来なくなることを強く懸念している。

J-LOPの目的とこれまでの成果を踏まえるとともに、今後は、(1)2020年オリンピック・パラリンピック東京大会という絶好の機会を活用した国家ブランドの強化と観光立国の実現、(2)地域のコンテンツの更なる海外展開を通じた産品の輸出や観光振興による地方創生の推進の観点からも、コンテンツの海外展開に向けたローカライズ・プロモーションの支援については来年度以降も事業が継続できるよう、予算措置を講ずべきである。

予算規模については、使い勝手の向上により、今後も活用事例が増える可能性があることから、直近1年の支援実績と同等以上の額を確保すべきである。

なお、今後、企業・自治体等がJ-LOPを一層活用していくためには、使いやすさの観点が重要である。J-LOPのこれまでの経験を活かしてコンサルティング機能を強化するとともに、使い勝手の向上と適正な運用を車の両輪で進める等、運用の不断の改善と体制強化を図る必要がある。

また、日本のソフトパワー、国家ブランドの強化に向けては、(1)海外バイヤー等に訴求するコンテンツ関連の国内見本市・展示会の開催(注2)、(2)海外バイヤーが多数来訪する国内見本市・展示会(注3)におけるわが国コンテンツを活用したプロモーション、(3)オリンピック・パラリンピック東京大会の大会期間までの4年間に全国各地で実施される国際文化イベントの開催等、海外訴求力が十分に確保されていることを前提に、国内イベントにおいてもJ-LOPのプロモーション支援を一層活用していくことが必要である。

加えて、地方でのJ-LOPの更なる活用に向け、経済産業省においては、各地の経済産業局等を活用し説明会を増やすとともに、相談窓口の設置も検討すべきである。

(注2)東京国際映画祭、Japan Content Showcase等

(注3)主眼がコンテンツ以外も含む;東京モーターショー、ツーリズムEXPOジャパン、FOODEX JAPAN等

以上

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