(US-Japan Cloud Computing Industry Forum)
〔 目次 〕
経団連とACCJは、3月の共同声明を踏まえ、「日米クラウドコンピューティング民間作業部会」を設置し、クラウドコンピューティングをめぐる課題を両国政府に対する報告書としてとりまとめた。
主な課題として、「国際的な枠組み作りに向けた日米協力」「途上国におけるクラウドコンピューティング利用促進支援・デジタルディバイドの克服」「そのほかの政策課題」の3点にまとめた。
「国際的な枠組み作りに向けた日米協力」の課題としては、マルチステークホルダーが中心となりオープンで透明なインターネットを維持していくためのインターネットガバナンスや、国際的に調和のとれた制度的枠組み作りの必要性が挙げられる。
「途上国におけるクラウドコンピューティング利用促進支援・デジタルディバイドの克服」にあたっては、日米のベストプラクティスの共有・展開により、発展途上国における社会的な課題の解決に協力、貢献することで日米両国のプレゼンスを発揮することが重要である。
また、クラウドコンピューティングをめぐる個別の「政策課題」については、「プライバシー」「情報セキュリティ」「デジタルコンテンツ」「相互運用性(インターオペラビリティ)」「国内法制度・政策の見直し」「その他の課題」の6項目に整理した。
これらの課題への解決に向けては、日米両国政府ならびに産業界が協力して取り組む必要がある。日米産業界は、クラウドコンピューティングの持つ力を最大限に活用できるよう、5つの提案を行なった。
1.オープンで透明なインターネットの堅持
現在、国際社会のさまざまなフォーラムにおいて、インターネットの将来について活発な議論が行われている。日米両政府・産業界は、さまざまな機会を捉えて、オープンで透明なインターネットが堅持されるよう、議論に積極的に参加する。
2.国際的に調和のとれたデータ越境移転ルール
日米両政府と産業界は、APECの越境データ移転ルールおよびEUデータ保護指令を規則に改訂する動きを注視し、欧州の政策の趣旨を尊重しつつも、国際的調和を保てるよう積極的に意見を述べる。
加えて、日米両政府においては、利用者がクラウドサービスを安心して使えるよう、既存の法制度のクラウドコンピューティングへの適用範囲について明確化していくことが求められる。
3.日米政府CIOの協力
日米両国の政府CIOがIT政策を計画し、さらに遂行するにあたり、日米産業界と定期的・継続的に意見を交換する場を設けることが望まれる。
4.安心して利用できるインターネット環境の確保
日米両政府と民間の四者で、新しく産まれた脅威、今後懸念される事項を定期的に意見交換する場を作り、敏速、かつ実効的に対応することを可能とする。
5.世界規模でのクラウドビジネスの促進
新興国でのクラウド活用のためには、インフラ整備、業務の改革、人材育成等が一体化されて行われなくてはならない。日米両政府には、特に当該国の公的機関が果たすべき役割についての支援を求める。